御題小説

□ふりる†ふらくたる:「悲哀・忘れていく愛」
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拝啓 沖田総司様、







《行き場の無い手紙》








桜のつぼみが開く季節となりました。

いかがお過ごしでしょうか。







桜の花が舞う季節となりました。

いかがお過ごしでしょうか。







雨の日が続いていますね。庭に紫陽花が咲いています。

あなたはいかがお過ごしでしょうか。







蝉の声が聞こえる季節となりました。

いかがお過ごしでしょうか。







段々と涼しく感じるようになってきました。

あなたはいかがお過ごしでしょうか。








もう、木々が紅葉した葉をつける季節となりました。

いかがお過ごしでしょうか。






地が紅色に染まっています。木々には何もありません。

あなたはいかがお過ごしでしょうか。







今日、初雪が降りました。部屋の中でも吐息が白くなります。

あなたはいかがお過ごしでしょうか。






段々と暖かくなってきました。先日まで積もっていた雪も、溶けて消えました。

あなたはいかがお過ごしでしょうか。






再び、季節は梅雨となり、あなたに会えなくなってから1年が経ちました。




















ため息がこぼれる。

もう何通手紙を書いただろうか。




届かないことなど分かっているのに…。







もう、絶対に、この手紙は届かない。










いかがお過ごしでしょうか、



『分かってるのに…。』





…あなたがもう、どこにも居ないことなんて、














それでも、まだ信じられない。信じたくない。












引き出しに溜まった手紙を見ると、あなたを思い出して涙が出る。







決して返事が来なくてもいい。







ただ、あなたを忘れたくないだけ。










決して、あの思いを消さないように…



















それが、この手紙の存在意義。



























《行き場の無い手紙》




(絶対に、「さよなら」なんて言えない)

(今でもまだ、あなたが好きです。)


















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