御題小説
□夢に見る、無限の蝶: 「死に近付く5のお題」
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死に近付く5のお題
01:貴方が消えた空の下
『…総司くん、』
あなたの名前を呼ぶ。
もう、返事は無いけれど…
大好きだったあなたはもう居ない。
私だけ、たった一人たたずむ。
あなたはもう居ない。
見上げた空は、悲しいくらいに青く澄んで…
―貴方が消えた空の下―
私はたった一人、あなたを想っている。
優しい風が吹いて、私の髪を靡かせた。
02:永遠に、届かない
『総司くん、…総司くん…??』
何度呼んでも、届くことは無い…。
どんなに涙が溢れ出していても、拭ってくれるあなたは居なくて…、
もう…
何もかも…
あなたには…
―永遠に、届かない―
03:血の味のキス
「(…あと、どれくらいかなぁ、)」
『…総司くん??』
「手、握ってもいい?」
私は「もちろん」と言いながら、彼の手に触れる。
そっと握った手は、痩せていて…
「…夕葉の手は、暖かいや、」
なんて、…もう、死んじゃうみたいで、恐怖が体を駆け巡った。
『総司くん、』
「…そんな、可愛い事しないでください、」
「止まらなくなる…」
『いいよ、』
「うつっちゃいますよ、……病気、」
『それでもいい…。』
あなたと死ねるなら…
それで…
それでいい…
最後に触れた唇は、血の味がしました。
―血の味のキス―
04:微かに聞こえる銃の音
『(あなたが居なくなっても、…あの人は、まだ戦い続けてる…。)』
“五稜郭”で、…ずっと、たくさんの人を失いながら…必死で…
『(本当は、あなたも一緒に戦いたかったんでしょう…??)』
総司くん、…あなたも、武士として死にたかったんでしょう…??
はるか遠くに、銃声が響いている気がする…。
『(私にも、聞こえる…。)』
「これは、高杉っちゅう男からもらったもんじゃき、」
『(竜馬さんも、持ってたなぁ…ピストル、)』
あれは、今でもあるんだろうか…。
家中を探し回って見つけた。
竜馬さんのピストル。
そろそろ、私も…あなたの元へ行きたい。
―微かに聞こえる銃の音―
05:最後の言葉は
『…私も、そっちに行くよ。』
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