るろうに剣心長編
□玖話
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『すいません、千本屋さん。』
薫)「はじめまして。」
千)「あなた達は…??」
ここ千本屋、いわゆる貿易会社みたいなものだが…
船で荷物を輸送する際に、もう4回も例の海賊に襲われたらしい。
薫)「ここで、女中として雇っていただきたくて…」
千)「それなら、調度いい。海龍を恐れて、何人もやめてしまいまして…」
『それなら、安心ですね。僕、かなりお役立ちしますよ。』
薫さんも、千本屋もかなり驚いた様子。
薫)「(ぼ、僕…??)」
『料理なら得意ですし、それなりに剣術も出来るつもりなので。
…どうです??調理専門と、用心棒をそれぞれ雇うと人権費がかかるでしょう??
それを、僕なら、一石二鳥ですよ。どちらも得意ですから。』
千本屋は、イマイチ信用していないようだったが「それは頼もしい」「是非お願いしよう」と言う事で雇っていただいた。
乗った事で30円。それと料理を出し、後は活躍ぶりで100円でも200円でも…
『町で募集したら、おもしろいヤツが見つかりますよ。』
千)「強いやつが居ますか?」
『ええ、僕も認める最強の男…と、そのオマケが。』
千)「一応、募集してみましょう。」
船に乗り込む。
船室で、まずはジャガイモの皮むきから始めた。
薫)「何で、男として…な訳??」
『その方が乗せていただけると思って。』
薫)「本当にそれだけ??」
『この格好のほうが、もしもの時、動きやすいですからね。比較的…ですけど。』
薫)「ふーん…」
『…何かあったら、僕が薫さんを守りますよ。』
薫)「なっ、私だって、神谷活心流の師範代よ。大丈夫なんだからッ//」
『何、赤くなってるんですか、女同士なのに…』
薫)「だって、夕葉がカッコイイから…」
『それは光栄ですね。』
『…まあ、あなたを守ってくれる人が現れますから、必要ないかもしれませんがね。』
薫)「だから、私は……そういえば、さっきの町で募集してみろって…」
『薫さんもよく知っている人が乗ってくるに決まってます。』
薫)「誰??」
『すぐ会えますよ。』
薫)「もう、出航したのね…気持ち悪くなってきた…。」
『大丈夫ですか??ちょっと、上がって空気吸ったほうが…』
船上へ上がってみると、やっぱりね…。
薫さんは、まだ気付いて居ないみたいだけど…。
「「あ、」」
薫)「あー…お金を稼ぐって、ホント大変な事だわね…夕葉。」
左)「夕葉…??おめーもか…。」
剣)「薫殿…夕葉…殿…。」
『ここで会えると思ってましたよ。』
薫)「け、剣心…左之助も、弥彦も…。」
そこで、弥彦が吐きそうになり…左之が必死でよけて「やめろ!!」と叫んだ。
夕日が真っ赤に染まる頃…。
みんなでジャガイモの皮むき中。
左)「なーにー??」
薫)「だからー…あなたたちに、ちょっと美味しいもの食べさせてあげたかったんだもの。」
剣)「それで、この船の下働きに…??」
弥)「出稽古に行くなんて嘘ついて…??」
薫)「だって、言えば心配するでしょ??」
剣)「しかし、薫殿…危険でござるよ…。」
『だから、あなた達が乗るように仕向けたんじゃないですか。』
「「「「…は??」」」」
『町で募集すれば、お金は乗るだけでももらえる。
働くったって、強いしか取り得が無いんですから、
こうすれば、きっと働きに出てくるだろうと思って
千本屋のご主人に、分かってて助言したんですよ。』
左)「じゃあ、俺らの行動お見通し…??」
『あなたの単細胞な頭で考える事くらいは分かりますよ。』
剣)「(恐るべし…。)」
『…でも、海龍は、恐ろしい、危険なんてものじゃないそうですよ。
千本屋のご主人は、獰猛なんて言葉では足らないとおっしゃってましたから。』
剣)「ヤツらの頭は、朱羅と言ったな…」
『その方の顔を見た者で生き残った人は居ないそうですよ。』
血も涙も無いそうだ…でも、誰も正体を知らない。
『…ま、私達がその人の顔を見て生き残った人第1号になればいい事です。』
左)「そ、そんな簡単に…」
『じゃあ、左之さんは自信が無いんですか??』
左)「バカヤロー、自信が無けりゃ、乗ってねー。」
『じゃ、頑張ってくださいね。』
『…あ、後、私、ここでは男って事になってるんで、あわせてくださいね。』
剣)「おろ…??」
『特に左之さん。』
左)「…何で俺なんでぃ!!」
『あんたがいっつも、私に好きだって叫ぶからですよ。
怪しまれるでしょう。男同士だと…ま、左之さんが、
男が好きで、単なる片思いって事にすれば、私には、
別に何でも無いんですけど…薫さんが好きって事にして。』
左)「そんな、へましねーよ。」
『どうだか……まあ、そういう事で、みなさん、“僕の事”よろしくお願いします。』
弥)「あんな優男がどこに居るんだよ…」
剣)「…沖田、(似ている…。)」
剣)「(―緋村さん、あなたの飛天御剣流…―)」
左)「剣心は何を言ってんだ…??」
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