隔離部屋

□紙の隅っこ
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「ねークレイー亜空軍おいでよー。みんな待ってるってー」
「うざい死ね。誰が行くか」
「クレイが行く」
「死ねばいい」


いつも通りの会話のキャッチボール。
まあ望んだ答えはもらえない。
それは百も承知の上。もう何百年、何千年こうしてふられ続けてきただろう。解りきっている。
でもあきらめられない。
いや、あきらめてはならない。
僕の作った亜空軍以外に、僕の縋れるものはそれしかないから。


「ねぇー、きなよぉー」
「うるさい」
「大好きなんだってばー、ほんとだよ」
「うるさい」
「僕クレイのためなら何でもするよー?」
「じゃあ死ね」
「クレイにあえなくなるからヤダ」


銀の髪に手を絡ませる。ちょっと指に引っかかる。
手櫛で梳いていく。うっとおしそうにクレイジーは頭を振る。
目は手元の書類を見つめたまま。こっちになんて少しもむかない。
慣れっこだけど、ちょっぴり悲しい。
じっと一緒に書類を眺めても、どこで計算してるのやら数字の羅列がどんどん書き込まれてく。
紙に黒インク、ペンに数字。僕にはあまりかかわりがない。僕は世界を持ってないから。


「おい、何すんだ」


せわしなく動いていた手をむりくり止める。
ものすごく迷惑そうな顔で睨み付けてくるけど、気にしない。
紙の隅っこの白い余白。そこにつかんだ手を持っていく。
手はペンを握ったまま。


「            」


紙の端っこの文字はメッセージ。
僕から君へ。
君から僕へ。
いつかその口から紡がれることを願うよ。


「じゃあ、またね」






いつかは振り向いてくれますように。



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