隔離部屋

□こわがりなかみさま
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真っ暗な部屋を稲光が照らす。
すぐに轟音が続く。
音で窓ガラスが震える。


ベッドの上の塊が轟音で跳ねた。
ぶるぶると激しく震えながら、さらに小さい塊になる。

「うえぇっ、うえぇえん……」

小さくすすり泣く声が塊から漏れる。
また部屋が光る。塊が跳ねる。

「うああああん……えっぐひぐ」

耐えきれなくなった塊が人の形に伸びた。白いシーツは被ったまま。
シーツを引きずりながら、人型は雷の部屋から逃げ出した。
部屋を出た廊下は真っ暗で、やっぱり雷の音は轟いた。
せっかく雷の部屋を抜け出したのに、目指しているところはあと少しなのに、また前に進む勇気がしぼんでいく。

「怖いよう、怖いよぅ……!」

すすり泣きながらのろのろ歩く。
何度も足が止まりそうになりながら辿り着いたその部屋は、雷とは別の光が漏れていた。
その光に酷く安心して、それと同時に気が緩んでぼろぼろ涙が落ちた。
ドアノブを引っ付かんで、早く入りたくて乱暴に扉を開ける。
にじんだ視界の中で、部屋の主が驚いてしてこちらを見た。

「何泣いてんだよ……」

あきれたように部屋の主が呟く。
頭に被っていたシーツを投げ捨てて、部屋の主に飛び付いた。

「怖いよう……ひっ、ひっく……うわ
ああああん!」

大声をあげて泣き出す兄神を抱き止めて、ぽんぽんと頭をなでる。
弟神は少し迷惑そうに目を細めると、諦めたようにいった。

「ふう……一緒に寝てやるからもう泣き止やめよ、な?」

仕事残ってるんだけどな、と苦笑する弟神の表情は普段よりずっと優しくて。
相変わらず雷は轟いていたけれど、兄神の心には先程までの恐怖は感じなくなっていて。
兄神の口許が、ほんの少しだけ綻んだ。



こわがりな兄神さまと、あきれ顔の弟神さまの話。


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