小説

□赤い糸
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離れないで
じゃないと、この赤い糸が切れてしまう。



あれだけ大好きだった陸上部をやめ
円堂の居るサッカー部にまで入ったのに


円堂との距離は1ミリも縮むことなく
むしろ入部する前より、遠く遠く

突き放されているような気分になった。



今までは、お前の愚痴、聞いてやれたのにな。

円堂と話している鬼道や塔仔を横目でちらりと見た風丸は、練習中にもかかわらず、そこで立ち止まってしまう。


違う部活だからこそ、幼馴染だったからこそ
円堂のサッカーの悩みや、苦しみを分かっていてあげられたのに


円堂に近づきたい一身で自分から特別をなくしてしまうなんて、バカだな。

自嘲気味に、フッ笑う風丸。こんな顔、円堂にも、サッカー部のみんなにも、ましてや陸上部の後輩になんか、とてもみせられない。

どんどん円堂を見ていくごとに
自分が勝手に円堂の特別だと勘違いしてしまっていたことに気づかされ


その気持ちはどんどん薄黒く色づいていくことが自分でも分かる。

『嫉妬してるなんて・・・馬鹿だな』
そもそも男同士ってことすらおかしいのに。
それは、一度受け入れてしまえば甘美な甘みにしかならない



『円堂の・・・馬鹿。』
この赤い糸は、きっと無限大には伸びない。

いつか、俺のこの想いが爆発してしまえば
いつか、お前が誰かのことを思ってしまえば
いつか、お前が俺のことを幼馴染だという認識が薄れてしまったら


いつか



いつか



赤い糸の限界地が。




昔は、あんなにも一緒だっのにな。





円堂。








赤い糸
         俺とお前を繋ぐこの糸は、もう―・・・・
 

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