サッカーやろうゼ?

□なみうちぎわ
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試合も練習もない久しぶりの休日、ひとりで散歩でもしてみようと浜辺までおりてみた。

「風丸くん、ちょっといい?」
「ああ、……え、ヒロト!?」
意外な人物にに驚いて後ずさる。
「そうだけど。都合悪い、かな」
「いや、そんなことないけど、」

円堂とどうでもいい話をして笑っているときや円堂の自主練につきあっているとき。
視線を感じて振り向くとその先にいるのはいつも同じ人物で、目があった瞬間遠ざかっていくそいつの赤い髪がいつのまにか視界から離れなくなった。
でもヒロトが俺を見ているのは円堂の側に居られて羨ましいとかそういう理由だと思ってたから、声をかけられるなんて思わなくて。



なみうちぎわ



「──じゃあ、散歩でもしようか」
「あ、ああ」
頷いて歩き出してみたもののなんだか落ち着かなくて、わざとらしく空を見上げてみる。

「なにか用か?」
沈黙に耐えられなくて口を開く。
「別に、大した用事は無いんだけどさ」
「そ、そうだよな」
さっきから喉が渇いてたまらない。
ていうか、俺なんでこんなに焦ってるんだろう。

「……風丸くんって、目を離してる隙に溶けちゃいそうだよね」
「っ、俺が?」
ヒロトの言葉に呆気にとられて足がもつれた。
「うん」
「そんなに儚げに見えるか?」
「なんか、ある日突然そう思ってさ、そしたら気になって目が離せなくなったんだよね」
「分かるよ、俺も気がついたらお前を目で追ってて、」
言っている途中で顔が熱くなる。
これじゃあまるで告白みたいじゃないか。
「……」
「……」
黙り込んだまま波打ち際を二人で歩く。


横目でうかがってみると、ヒロトの頬は真っ赤に染まっていて。

それが眩しすぎる太陽のせいなのか俺と同じ理由なのかは分からないけれど、照れくさいような心地いいようなこの沈黙が、いつまでも続けばいいと思った。







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塩宮様の風→←ヒロでした
ありがとうございます!!

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