サッカーやろうゼ?

□雨のちアメ
1ページ/1ページ

FFIも後半に差し掛かり、相手はますます手強くなっている。いつもの練習だけじゃ足りない。強くなれない。レギュラーになれてない分、他の奴らなんかに劣る練習なんかしてる場合じゃない。もっと、もっともっと強くならなきゃいけない。そうでなくちゃ、誰も必要としてくれないんだ・・・











「こんな所で練習してたのか」


ボールを蹴ることに集中していた為に気づかなかった。小雨が降り始めていたらしい。


「気にしてられっか。これくらい、涼しいってモンさ」


またボールを蹴り始めようとするが、すぐに止められた。ボールを奪ったソイツを睨みつける。


「風邪引いて試合出れない方が嫌だろ?」


投げられたタオルを受け取る。ボール取られたら練習にならねぇ。諦めてそのタオルで頭を拭いて、二人で木の陰に入った。雨宿りにはちょっと心許ないが、少しの間だけだ。
そう。ちょっとだけ・・・のつもりだったのに、雨はどんどん強くなっていく。気温が下がるにつれ、体温も下がっていくのを感じる。


「不動、寒くないか?」

「寒くねぇよ」


本当は寒い。少し濡れたせいもあって今にも震えそうだ。でも意地張ってそんなことしか言えなかった。


「嘘つけ。震えてるぞ?」


チ。バレてた。全く・・・コイツはこういう変化を見つけるのは上手いな。他は鈍感な癖に。


「えっ」

「ごめん、不動。俺が寒いだ。雨が止むまででいいから・・・」


その声はすぐ傍から聞こえた。剃った所に相手の髪が触れ、首元に円堂の息がかかる。頭ン中が混乱して何が何だか分かんなくなる。背中から伝わる体温で抱きしめられていることに気づく。


「えんどう・・・・・俺、濡れてるから離れた方が」

「嫌だ」

「けど・・・」

「不動が嫌ならやめる」


そう言うと同時に温もりが離れていく。


「違っ・・・違うんだ」


とっさに手を掴む。円堂は後ろにいるからどんな顔をしているのかは分からない。あぁ、俺、どんな顔してんだろ。体は寒いのに顔はすごく熱い。


「円堂。俺、ずっとこうしていたい」

「・・・嫌だ。不動の顔が見たい」


少し離れた、と思うと同時に体を反転させられる。よろけた先には円堂の厚い胸板。正面から抱きしめられる。


「不動。大好きだ」

「俺、も・・・好きだよ」


ゆっくりと唇を重ねる。









雨はその勢いを増して降り続いていた。気温はどんどん下がっていったが、心は温かかった。





End


******
露木はとりさんからのリクエストで円不でした。

不→円な気がしますが円不です、はい(゚゚;)


露木はとりさんのみお持ち帰り可。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ