novel

□第2話
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最初に見た足の痣は、もう薄くなっていた。しかし、それが消えるより早く袖の隙間から見えた腕には、小さなタバコの後のような火傷があった。

そして次の日には掌に包帯が…。
たたかれた痣、ぶつけた裂傷、小さな体に点在する怪我はこればかりでない。至る所に散らばる痣や傷には明らかに醜悪な他意が見てとれた。

「その怪我どうしたんた?」

目に余るその怪我の数にとうとう千晶が口を開いた。
それは、夕士と出会って7度目の夕暮れだった。

「・・・転んだ」

戸惑いの含んだ声音は揺れていて、その答えに納得できるはずがなかった。

「転んだ怪我だけじゃないだろ?」

転んだだけで此処まで多くの怪我はおわないだろう。
そもそも怪我の在り方が不自然だ。

同級生に虐められた怪我でも無いだろう。
子どもは自分と違う異分子を幼い残酷さで排除しようとする。夕士の体のあちこちにあり傷や痣の一部のものは確かに子供らによってつけられたものだと思える。



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