落乱

□4話
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井戸で顔を洗い、多少化粧をして食堂に向かう
食堂までの道の途中ですれ違った生徒の皆が挨拶をしてくれた
そのことが嬉しくて、ついつい頬が緩んでしまう

食堂の暖簾をくぐって中に入る
おばちゃんに挨拶をして朝食を貰った
御盆の上に乗っている食べ物がどれもおいしそうだ

『(どこに座ろうかな…)』
キョロキョロと首を回しながら空いている席を探す
何処もいっぱいでとても座れそうに無い
いっそのこと立って食べようか、と考えた時だった

雷「***先輩!良かったら此方にどうぞ」

声の方を見てみると雷蔵が笑顔で手を振っている
その周りにはおなじみの五年生メンバーが座っている

『ありがとう!』
そう言って雷蔵の元へ行く
雷「お早うございます、***先輩」
竹「先輩、お早うございます!会いたかったです!」
二人とも気持ちのいい笑顔で挨拶をしてくれる
この二人はどうしてこうも可愛いのだろうか

久「***先輩、お久しぶりです」
綺麗な黒髪の睫が長い男の子
誰だったけ?と記憶の中に探してみる
『え、もしかして兵助?』
久「はい、久々知兵助です」
そこに座っている兵助は以前よりも格段に大人びていた
『随分大人びたね!一瞬誰か分からなかったよ!』

後輩の成長に、まるで親のような気持ちになってしまった
『男子、三日会わざるば刮目してみよって本当なんだね』
勘「じゃあ先輩、オレの事覚えてますか?」
急に後ろからギュッと抱きつかれる
あまりの勢いに少しバランスを崩しそうになった
『その声は勘ちゃんだね、おはよう』
勘「へへ、お早うございます!」
***の肩越しに顔を見せて挨拶をする勘右衛門
本当にこの子は無邪気だなぁ
思わず勘右衛門の頭を撫でる
すると気持ちいのか目を細めて微笑む勘右衛門
三「おい勘右衛門、いい加減にしないか、***先輩が朝食を食べられないだろう」
後ろから勘右衛門を引き剥がすのは鉢屋三郎
勘右衛門は、おもちゃを取り上げられた子供のようにシュンとしている

『ありがとう三郎』
三「……どういたしまして」

そう言い残して食堂を後にする三郎
以前の彼なら悪戯の一つでもする筈だろう…

『ねぇ雷蔵、三郎何か変じゃない?』
素直に疑問を唱えると雷蔵は「そうですね」と、何処となく楽しそうに笑った









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