短編

□迷えども
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今日は授業が早く終わったので、裏庭の桜の木にもたれ掛かり読書をしていると

「あ、***先輩」

と、聞き覚えのある声で呼ばれた
声の方を見ると、体育委員の三年生、次屋三之助が気だるそうに此方に向かってきている


『こんにちは、三之助』

本をパタンと閉じて軽く会釈すると、三之助は隣に腰かけてきた


『また、迷子?』

クスクスと笑いを堪えながら聞いてみると、三之助はキョトンとしている


「違いますよ、教室が迷子になっただけです」


そういえば、この間もそんな事言ってたっけ、

それがさらに可笑しくて、また笑ってしまった


『じゃ、一緒に教室探してあげる』

そう言いながら立ち上がり三之助の手を引っ張った



三之助はまた、気だるそうに、微かに嬉しそうに立ち上がった





迷えども


あなたのもとには辿り着ける








 

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