長編

□第1章
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「 辛ぇ 」


土方は病院の屋上で 激カラせんべいを食べていた。
ミツバからもらった ミツバの好物。最後の....餞別。


「辛ェよ チキショー 辛すぎて涙でてきやがった」


きっと 今ミツバは総悟にみとられながら 静かに逝っているのだろう。


「辛ェ」


ミツバは土方にとって かけがえのない存在だった。
その分 誰よりも 何よりも護りたいと思っていたそして それ以上に幸せになってほしいと願っていた。
土方がミツバを突き放したのも 自分といたら危険な目にあってしまうという思いからだった。

土方にも躊躇いがなかったわけではない。けれど ミツバがこちらにやってきて 結婚すると聞いたとき これでミツバも幸せになれる と自分の決断は正しかったのだと 自分に言い聞かせた。

しかし ミツバが死んだ今 自分の判断は 本当に大丈夫だったのか そればかりが頭を駆け巡る。



「...ミツバ」



土方は 1人静かに 涙を流していた。





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