長編

□第2章
1ページ/4ページ



皮肉なほどに晴れ渡った空。



「なんで こんなに青いんですかねィ」



沖田は1人 屯所の庭にいた。


部屋のほうから微かに線香の香りがする。
きっと ミツバの葬式だからだろう 真撰組の仲間はみんなそこにいる。


もちろん、 土方も。






「ほんと 俺、 こんなとこで何してんだろ」



わかってる 自分の実の姉だ、 葬式だってしっかり自分が見送らなきゃいけないと思ってた。

だけど、 何故か行けない。


葬式にでたらきっと、 もうミツバはいないと思い知ることになる。

親代わりとして 自分を育ててくれたミツバ。 どれだけ感謝しても足りない。
しかし そのミツバはもう、 いない。

こうなることは分かっていた。だから覚悟はできていた。 のに やはり悲しさが込み上げてくる。



だけど その悲しさと同じくらい、何故か心の中がグシャグシャな気がする。



「なんなんでィ これ」



多分 これはミツバがいないという悲しさとは別のもの。



「胸クソわりぃ」



これはきっともっと、 どす黒い感情。



「気にくわねぇ」



これは きっとアイツのせい。





.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ