銀魂 短編小説

□煙草はハタチになってから
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「...チッ。 あんたかよ」


「えっ舌打ちとか酷くない? 仮にも教師だからね?俺。」



そこには、Z組の担任である銀八がいた。


「ていうか、舌打ちはおかしいからね? 普通、『あっヤベ先生きた』って慌てて煙草ぐらい消すのが高校生だからね?」


「あ゛? 何処で煙草吸おうが俺の勝手だろ?」


と言って、高杉は、再び煙草を口にして煙を吐き出した。


「いやいや、一応この世界ではオメー高校生って設定なんだから、煙草はダメ!ゼッタイ!」


「この世界で、毎回煙草吸ってる奴に言われたかねーよ。」


「いや、これはあれだよあれ、ペロペロキャンディーだからいいんだよ。」


と、言いつつも銀八が口にくわえてるのは煙草だ。


「...フン」


しどろもどろになりながら弁明する銀八を、高杉は鼻で笑った。


「いや、鼻で笑うの止めよ?」

言いながら、屋上の出入口にいた銀八は、高杉の方に近づいた。


高杉がフェンスに寄りかかっている、その隣に銀八も寄りかかる。

ガシャン、とフェンスが軋む音がした。



それからしばしの間、沈黙が二人に流れた。


先ほどまで、一本だけだった煙が、二本に増え、ゆらゆらと空にのびていく。
それを見ながら、ただ、二人は、煙草を吸っては吐くという行為を繰り返していた。



「...つか、テメーは授業どうしたんだよ」


高杉が、口を開いた。
確かに、今は授業中の時間だ。普通なら銀八は、教師として、生徒の前で授業をしているはずだ。

しかし、それは高杉にも言えることだ。本来なら、二人共この時間はこんな所で煙草を吸っている場合ではない。


「あぁ,プリント渡して自習にしてきた。」


銀八は、だからだいじょーぶ、と気の抜けた声で答えた。
それは、教師としてはいかがなものかという答えだった。
案の定、

「教師がそれでいいのかよ。」

と、高杉に突っ込まれた。
しかし、銀八に、

「それを言うなら、お前は授業すらでてないだろ。」


と、言われ高杉も、それもそうだ、と押し黙った。
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