長編

□第2章
2ページ/4ページ


――――…‥

沖田は病院でミツバを看取った。


今 目の前にいるミツバはただ眠っているようにしか見えない。
手の温もりもまだあるのに。




「......姉上...」



ポツリ沖田は呟いた。










どれほどそこに居ただろう、 沖田の手の中の温もりもすっかり冷たくなっていた。

とりあえず、ここからでて気持ちを落ち着けようと、沖田は病室をでた。




病室をでると、自然と溜め息が出た。


(...どうするかねィ)


病室の扉にもたれ掛かって、右手を顔にのせた。

涙はもう乾いていた。かなり泣いた気がするのに、涙は跡形もなくなってた。
それが妙に切なくて、また悲しくなった。


そういえば、泣いたのなんて随分久しぶりな気がする。

今まで、たとえ仲間が目の前で殺されても悲しいと思っても、泣いたことは一度もなかった。
今のご時世だ、仲間の死にいちいち悲しんで泣いていたら立ち上がれなくなる。



そういえば、
アイツは、泣くんだろうか。

ふと、気になった。


アイツの弱音、ましては泣き顔なんて見たことがない。


アイツは今頃、どこかで煙草でも吸っているのだろう。


今、ミツバが死んだと聞いたら一体どんな顔をするんだろうか。




(...まぁ、考えてもしょうがないか)










待合室には近藤や他の隊士たちがいるだろう。今はあまり人に会いたくなかった。

今の自分をみたらどんな空気が流れるか分かってる。だから余計なことはしたくなかった。



(....とりあえず、外の空気でも吸いに行きますかねィ)


沖田は屋上へと足をむけた。



.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ