長編
□第2章
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――――…‥
沖田は病院でミツバを看取った。
今 目の前にいるミツバはただ眠っているようにしか見えない。
手の温もりもまだあるのに。
「......姉上...」
ポツリ沖田は呟いた。
どれほどそこに居ただろう、 沖田の手の中の温もりもすっかり冷たくなっていた。
とりあえず、ここからでて気持ちを落ち着けようと、沖田は病室をでた。
病室をでると、自然と溜め息が出た。
(...どうするかねィ)
病室の扉にもたれ掛かって、右手を顔にのせた。
涙はもう乾いていた。かなり泣いた気がするのに、涙は跡形もなくなってた。
それが妙に切なくて、また悲しくなった。
そういえば、泣いたのなんて随分久しぶりな気がする。
今まで、たとえ仲間が目の前で殺されても悲しいと思っても、泣いたことは一度もなかった。
今のご時世だ、仲間の死にいちいち悲しんで泣いていたら立ち上がれなくなる。
そういえば、
アイツは、泣くんだろうか。
ふと、気になった。
アイツの弱音、ましては泣き顔なんて見たことがない。
アイツは今頃、どこかで煙草でも吸っているのだろう。
今、ミツバが死んだと聞いたら一体どんな顔をするんだろうか。
(...まぁ、考えてもしょうがないか)
待合室には近藤や他の隊士たちがいるだろう。今はあまり人に会いたくなかった。
今の自分をみたらどんな空気が流れるか分かってる。だから余計なことはしたくなかった。
(....とりあえず、外の空気でも吸いに行きますかねィ)
沖田は屋上へと足をむけた。
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