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□Alice in monochrome world
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“その娘の首を刎ねてしまいなさい!!”
私が一番覚えていた言葉はそれだった。
他にも、飲むと縮んでしまう薬や喋る巨大な花たち、ウミガメモドキや毒々しい色をしたきのこ。
普段の世界では見れないものを、私は実際に見た記憶がある。
記憶にしか聞こえないかもしれないけど体験もした。
そう、私は不思議の国に、迷い込んだことがあるのだ。
六歳の頃、私はお姉さんと庭でピクニックをしていた。
でもあまりにも退屈で退屈でしょうがなかった。
本当に無意味な時間を過ごしていたんだと思う。
でもそれがよかったのかもしれないと、行ったことに今は後悔すら感じている。
チョッキを着て、懐中時計を持ちながら、二足歩行で走っている兎なんて、追いかけなければよかったと。