GS
□2004/12/03 尽
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←尽×あなた→
「ね、ねえちゃ、ん…?」
尽の声がうわずる。
「な、なんだよ。どーしたんだ?」
冷静に。
冷静に。
そう思っても、声は元にもどらない。
(なんだよ…、この状況はなに)
尽が動揺するのも仕方がない。
先刻、彼の姉が部屋にきた。
と思ったら、すごい勢いで体当たりしてきたのだ。
尽はバランスを崩し、ベッドに倒れ込む。
それならまだ、いつもどおり呆れた態度で姉を見れた。
なのに─
「…………」
ふりそそぐ彼女の重みが。
耳に触れる吐息が。
自分とおなじ、シャンプーの香りが。
尽の冷静さを奪う。
(ちょ、待って…)
彼女は尽に抱きついていたのだ。
(!!!!!)
自覚したとたん、尽の心臓が激しく騒ぎだす。
「ね、ねえちゃん!離れてよっ!重いっ!重いってばっ!」
やっとのことで叫んでも、彼女はしがみついたまま。
頬をぺったりと尽の胸につけて何も言わない。
尽がなにを言おうと、無言のまま離れないのだ。
(ちょ、ちょっと…!)
焦った。
けれど、自分より年上の彼女から逃げられるわけもなく。
かといって逃げたくもなく。
二人はそのままの体勢でだまりこんでしまった。