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□2005/10/31 葉月×姫条×鈴鹿+α
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←葉月×姫条×鈴鹿×あなた×α→


「よっしゃ!潜入成功〜」


「…ここがそうか…」


「んで、次はなにすんだよ?」


姫条に葉月に鈴鹿の姿。


「まあまあ。焦りなさんな。なんだかんだ言って二人ともガッついてるやんな〜」


ハハハと笑った姫条に、葉月と鈴鹿は同時に眉を寄せた。


((…お前がムリヤリ連れてきたんだろうが…))


心の中まで同じ二人を無視して、姫条は忍び込んだ教室の中を興味深げに見ていた。


忍び込んだ=不法侵入。


三人は他校にいた。


羽ヶ崎学園。


通称「はね学」


最近、はばたきウォッチャーに特集が組まれるようになった高校だった。


きっかけは、はばチャを姫条が愛読していたことにある。


理由その@
「なんやイイ男がいるらしいで」


理由そのA
「はば学さしおいて何様やねん」


理由そのB
「ん?…でもかわいいコおんねんな」


等々。
どうでもいいような理由が山ほど。


まあ、まとめてしまえば。


「気になるやん?」


それだけ。


そんな理由で姫条は嫌がる二人を強引に道連れにしたのだ。


強引になる理由。


間違えて発注してしまった、はね学の制服3着。


大阪人としてムダは許されない。


「…にしてもフツー、手に入るかよ?」


鈴鹿が乱暴にシャツのボタンを開けながら言った。


グレーのブレザー。


葉月はオーソドックスに。
鈴鹿はラフに。
姫条は自分流に。


「まぁ。花椿センセからちょっとな」


姫条がにやりと笑う。


「どんなルートだよ…」


「…静かに」


鈴鹿のためいきを止めるように葉月が手を上げた。


「…誰か来る」


三人に緊張が走った。


制服を着ている。
簡単にバレるわけがないのだが、忍び込んでいる以上、警戒は強くなる。


三人は無言で最初に侵入した窓辺に寄った。


今いる教室は使われていないはずだが、いざとなればすぐに出て行こう。


三人がそう思った時、人声は教室に入らずに廊下を通り抜けた。


「…行った」


葉月の声を合図に姫条と鈴鹿が息をはく。


「は〜、あせったぁ」


「し、心臓に悪ぃぞ…」


ずるずると窓辺の壁に座り込みながら鈴鹿が乱暴に頭をかいた。


「もう帰ろうぜ。心臓もたねぇよ」


「…そうだな」


同意する葉月に姫条はおいおいという顔をした。


「まだなにもしてないやんか。帰れるかい」


「…見つかったら面倒くさい」


「あ〜でもなぁ……って、なんやアレっ!!」


窓からぼんやり外を見ていた姫条の顔がひきつる。


つられたように葉月と鈴鹿が外を見ると、校門があった。


そこにいる人物。


バラ色の髪。
桜のような唇。
華奢な体。


(((どうしてここに!?)))


三人の心の叫び。


そこには一人の少女が立っていた。


葉月、姫条、鈴鹿が大切に思っている少女。


校門の前で長髪な外人生徒にナンパされている。


「なんやあの男。てゆーか自分なんでここにいるんやっ!?」


「…魔法だ」


「はぁっ!?」


葉月がひたりと少女を見ながら言う。


「…あいつ、そういうとこある」


「なんだよそれ」


鈴鹿も少女を凝視しながら聞く。


「…必然のような偶然」


そう葉月が言うと、二人は目を見開いた。


そしてその直後。


「「ああ…。」」


同時にためいきをついた。


「…せやなあ。こっちがこっそりデート誘ってんのに、なんでだか自分らに会うこと多いし」


「言われりゃそうだな」


「……………」


複雑な表情の三人。


「なんかあれは『いい男ホイホイ』みたいやな」


姫条がぽつりとつぶやいた。


それって少女のことである。


話しかけている外人もやはり美形だったのだ。


「「「…………」」」


ずいぶん長い沈黙の後、三人は笑いだした。


その声に、外にいる生徒達がふりかえる。


「やべ」


「…行こう。他校にまでライバルはいらない」


「せやな」


「おう!」


三人は教室を飛び出し、少女に向かって走り出した。



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