GS
□2007/02/10 三原
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←三原×あなた→
美術室で。
二人きりで。
夕陽がきらきらしていて。
その光をうける少女の唇が、あまりにも綺麗に見えて。
「さわっても、いいかい…?」
色は自分の指をのばしていた。
「色くん?」
不思議そうに首をかしげながらも、少女は色の指に頬をよせる。
そして。
ちゅ、と。
流れるような自然さで、その長い指にキスをした。
無言のまま。
色の瞳が、かすかに揺れる。
それに気づかない少女は、愛しい人の指を無邪気に唇でなぞりつづけた。
(……………)
ぞくりとしながら、同時に色は愛しいと思っていた。
(なんだろうね、これは)
色は考える。
少女を見ていると単純に抱きたくなる。
本当に単純。
男は好きな相手がいたら抱きたいと思ってしまうもの。
だから今のように、少女に指をキスされてしまえば簡単に燃えあがる。
(でもそれだけじゃないね)
抱きたい気持ちと。
愛しい気持ち。
(ちょうどその間に僕がいる)
抱こうと思えば、すぐできる。
けれどそうしないのは、同じくらいの衝動で愛しいと感じるから。
(君はミューズでありながら……エロスでもあるんだね)
そんな相手、はじめて出会った。
それまで刺激される相手は幾人かいた。
見ているだけで創作意欲をかきたてる者。
単純に性的衝動を感じさせる者。
(でも君は違うんだね)
それぞれ、相手にひとつしか感じなかったものが全部ある。
抱きたくて。
愛しくて。
閉じ込めたくて。
殺してたくて。
(ああ、なんだろうね、本当に)
もうすぐ、春。
(君をモデルに絵でも描いてみようか)
自分のすべてが出せそうな気がする。
無言で。
色がゆったりと微笑んだ。
→終←
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