GS2

□2007/01/01 志波×針谷
1ページ/4ページ

←志波×針谷×あなた→


元日当日。

約束をしたのに志波は来なかった。

携帯も留守電のまま。

しかたないので少女は志波の家をたずねることにしたのだが―


「まあ、勝己の彼女?晴れ着がよく似合ってるわ」


熱烈な歓待と、おおいな誤解を受けながら、志波の母親にうながされて部屋に通される。


「それじゃあ、私は出掛けてくるから。バカ息子をよろしくね」


「え、あの…っ」


驚く少女を残して、母親は部屋のドアを閉めてしまった。


「あ、あの……」


物音ひとつしない部屋で少女がつぶやく。


いや、誰もいないわけでもないのだが。


少女がふりかえる。


「志波くん…」


かぼそい声で少女が呼びかけたが返事はなく。


「…すー…すー……」


かわりに部屋に響いたのは、すこやかな寝息。


志波は約束を忘れ、この時間になっても寝ていたのだ。


「…ど、どうしよう…ええと、志波くん?」


とりあえず起こそうと、少女はベッドに眠る志波の肩に触れようとした。


だが、すぐ止まる。


あまりにも気持ちよさそうに安眠する志波の姿に、起こすことが悪いような気がしてきたのだ。


「起きるまで待つしか…ないよね?」


少女が困ったように笑った。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ