GS2
□2007/01/01 志波×針谷
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元日当日。
約束をしたのに志波は来なかった。
携帯も留守電のまま。
しかたないので少女は志波の家をたずねることにしたのだが―
「まあ、勝己の彼女?晴れ着がよく似合ってるわ」
熱烈な歓待と、おおいな誤解を受けながら、志波の母親にうながされて部屋に通される。
「それじゃあ、私は出掛けてくるから。バカ息子をよろしくね」
「え、あの…っ」
驚く少女を残して、母親は部屋のドアを閉めてしまった。
「あ、あの……」
物音ひとつしない部屋で少女がつぶやく。
いや、誰もいないわけでもないのだが。
少女がふりかえる。
「志波くん…」
かぼそい声で少女が呼びかけたが返事はなく。
「…すー…すー……」
かわりに部屋に響いたのは、すこやかな寝息。
志波は約束を忘れ、この時間になっても寝ていたのだ。
「…ど、どうしよう…ええと、志波くん?」
とりあえず起こそうと、少女はベッドに眠る志波の肩に触れようとした。
だが、すぐ止まる。
あまりにも気持ちよさそうに安眠する志波の姿に、起こすことが悪いような気がしてきたのだ。
「起きるまで待つしか…ないよね?」
少女が困ったように笑った。