TOG

□とけちゃうんじゃないか
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雪に包まれているフェンデル。
相変わらずここは寒いと白い息に言葉をのせると同意するかのように隣にいる兄さんが自分の腕を摩った。
もともと温暖な地域のウィンドル育ちの兄さんだから耐えられないのも無理はない。

「兄さん大丈夫ですか」

「あ、あぁ。なんとか」

…大丈夫じゃあないですね。

「無理しないで下さい。
寒いままでいて風邪を引かれたら困ります」

幸い、今は最後尾を歩いている。
僕は左手に着けていた手袋を外すと素手の兄さんの右手を掴んだ。

「ヒューバート?」

「こんなに冷えているじゃないですか。強がらないで下さい」

「え、あ、その…」

手袋をしたまま剣を握るのは慣れていないからと、冷たい空気にさらしていた白い兄さんの手。
その手の指に自分の指をスルリと絡ませて握る。

相変わらず細い。

「…敵が来たらどうするんだ」

「問題ありません。
僕の右手が空いてますから
兄さんくらい守りながら戦えますよ」

握ったまま僕のコートのポケットに入れてやんわりと指を撫でる。

「暖かいでしょう?」

「…う、」

「兄さん?」

「ば、ばかヒューバート
…急にあっつくなった」

可愛い顔を赤く染めて恨めしそうに見つめてくる愛しいヒト。

「よかったですね、これで寒くないでしょう?」

少しからかうように言えば、

「…ありがとな、ヒューバート」

照れたように兄さんは笑った。
雪がひらひらと花弁のように舞い落ち、兄さんのコートに入りきらない前髪に付着する。
その姿はただ美しく、

「どういたしまして、兄さん」

愛しさのあまり、引き寄せられるように兄さんにキスをした。





熱くてとけそうだ







***********

後書き
実家が雪国で、今日極寒だったので書いてみた
執筆久々だ…
ヒューバートがキザだな…

2011 1 4




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