乾いた涙
□毒花
1ページ/1ページ
色鮮やかに
存在を主張して
美しい花を咲かせた私に
あなたは優しく
触れてくれる
でも私の鋭い棘は
毒のようにあなたを蝕み
赤く染め上げる
指先から流れゆく鮮血を
掬いとることもできず
痛みに歪んだ顔で
私を見るあなたに
ただただ
言葉が通じますように、と
嫌わないで
嫌いにならないで
見て欲しかっただけなの
触れたかっただけなの
ごめんなさい
そう願った
けれども
一方通行の思いは
跡形もなく
踏み潰された
もう誰も
私に触れないように
切り捨ててくれたあなたは
きっと
優しい人なのでしょう
涙も零せず私は散った
(棘がない醜い姿だったらあなたは私を愛でてくれましたか?)
.