夢小説

□欲しいものはいつも、
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「…ななし??」

コンビニの帰り、あいつは公園のベンチに座っていた。

『総悟…??』

こんな時間にどうしたの?と聞くあいつの目は赤く腫れていた。
どうした、なんて聞けるはずがなかった。
俺はあいつの涙の理由を知っていたから。

俺は何も言わずにななしの隣に腰を下ろした。

「今日も冷えるねィ」
何気なくそういってマフラーをななしの首に巻いてやる。
すると、すすり泣く声が聞こえてきた。

『総悟ぉ…私、土方君にフラれちゃった』

前からこいつが野郎を思っていたのは知っていた。
野郎と俺が一緒にいることから協力もしたこともあった。

『土方君、付き合うとか…そういうの興味にんだって』

今までいろいろ協力してくれてありがとねと言って無理に笑う。

「…なんて顔、してんでィ」

気づけば俺はななしを抱きしめていた。

「無理して笑うんじゃねェ。泣きたいときは思いっきり泣きなせェ。
…胸くらいは、貸してやらァ」

ぎゅっと抱きしめる腕に力を入れれば、ななしの泣き声が響いた。
俺の腕の中で泣きじゃくるななしを愛しく思った。
言いたい気持ちを飲み込んで、ただななしを抱きしめた。



『ありがと、総悟』

「落ち着いたかィ??」

うん、と頷いたななしを名残惜しそうに離す。

『私、諦めないよ。土方君、フリーだし!
いつか私に振り向いてくれるときが来るかもしれないし!』

「お前みたいな色気もねェガキじゃ無理でさァ。またフラれんのが落ちでィ」

『あ、ひっどーい!!そんなのわかんないじゃん』


「…ま、そのときはまた胸貸してやりまさァ」

そういえば、飛び切りの笑顔でありがとうと帰ってきた。




あいつはいつもそうだ。
俺のほしいもの、なんでも奪ってく。
やっぱり土方コノヤローだけは好きになれねェや。
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