夢小説
□ったく、馬鹿だなぁ。
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「…ふぅ」
今日中に終わらせる書類もすべて片付き、時計を見れば23時40分。
今日は早く終わったな、と思いながら布団を敷き、寝る準備をする。
「……おい、いつまでもつったってないで用があるなら入れ」
部屋の前でうろうろしている気配に痺れをきらし声を掛ければ、びくっと反応したのがわかった。
『し、失礼します…』
高めのかわいらし声。
おずおずと戸を開けて入ってきたのは副長補佐として少し前にきたななしだった。
「こんな時間にどうした??」
『あっ、あの…副長。私、ちゃんと副長のお役に立ててますか?』
何の用かと思えば何を言い出すんだこいつは。
『私、いつも失敗ばっかで、ドジだしマヌケだし…副長に迷惑かけてるんじゃないかって…』
たしかに、ななしはドジだ。
せっかく整理した書類を落としてバラバラにしたこともあったし、自身の足に躓いて転び、お茶をこぼすなんて日常茶飯事だ。
でも…
「何言ってんだよ、馬鹿」
『へ??』
「確かおめぇはドジだし失敗も多い」
俺の言葉にしゅんとするななし。
「でも正直助かってる。おめぇのおかげで仕事も減るし、何よりおめぇの笑顔に元気付けられる。俺だけじゃなくて他の隊士たちもな」
煙草に火をつけながら俺なに柄でもねぇこと言ってんだと少し恥ずかしくなった。
「辛いならやめればいい。俺にとめる権利がねぇ。だが…俺らにとっておめぇは仲間だからよ」
照れ隠しのため煙を吐き、ちらっと横目でななしを見てぎょっとする。
ななしの目からは涙が零れていた。
「お、おい!どうした!?」
何か悪いことでも言ったかとおろおろすれば『違うんです』というしゃくりまじりの声。
『その、うれしくて…。ずっと不安だったんです。私、ここにいてもいいのかなって。副長のお役に立ててるのかなって。』
涙をためた目で、にこっと笑うななしを愛おしく感じた。
そっと頭を撫でながら、ふっと笑う。
「ばーか。そんな心配する暇があったら仕事をしろ。お前の居場所はここにあんだろーが」
守ってやりたいと思った。
もちろん、家族として。
傍にいて、笑ってほしいと思った。
この気持ちが恋心に変わる日も、そう遠くないかもしれない。
end
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最後無理やりまとめた感ありありですね;
土方さん切甘が書きたかったんです。
切甘になりませんでしたが←