夢小説

□きらい、きらい、すき。
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『げっ』

「あ?」

久しぶりにアジトに帰ると、フィンクスがいた。
しかもよりによって二人きり。


『…なんでいんのよ』

「お前こそ」

『なんであんたに教えなきゃなんないのよ』

そういえばそれ以上返してこなかった。

私はフィンクスが嫌いだ。

意地悪だし、女々しいし、うるさいし、自分勝手だし、馬鹿だし、眉なしだし。

きっと向こうも私を嫌っているんだと思う。

『…ねぇ、団長は?』

「しらねえよ」

会話はまったく続かずに、アジトは静寂に包まれていた。

「…なあ」

『…何よ』

沈黙を破ったのはフィンクス。

「お前さ、俺に文句あんならさっさと言えよ」

『は?』

よいしょ、と体を起こして、私に向く。

「イラつくんだよ、テメェといると。言いたい事あんならはっきり言いやがれ」

…フィンクスは、意地悪だ。
私の気持ちも知らないで。
だからフィンクスは嫌いなんだ。
デリカシーないし、女心分かってないし。

『フィンクスが………き』

「あ?」

『だから、フィンクスが好きなんだよばかやろーっ!!』

自分でも驚くくらいの大きな声。
ハッと我に返ると恥ずかしくて逃げ出したくなった。
フィンクスも驚いたようでぽかん、と口をあけている。

「あー…お前、まじか??」

余裕の無くなった私は、真っ赤な顔で頷く。

「…ほんとにいいのかよ」

『え?』

「だから、俺でいいのかって聞いてんだよ」

そう聞くフィンクスの顔も少し赤く染まっていて。
小さく頷けばよろしくなって返事が返ってきた。


フィンクスなんて嫌い。

意地悪だし、女々しいし、うるさいし、自分勝手だし、馬鹿だし、眉なしだし。

……なんて、嘘。

ほんとはフィンクスの全部が大好き。











end
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