〜平助からの手紙〜

平助君があなた宛てに送ってくる手紙を読むことが出来ます。
その手紙のリンクを押すと空メール画面が開きますので…
送ると、封を開ける事が出来ます。

※2012/04/01改訂:カラメ閉鎖にともない、じかに手紙を置かせていただいております。




〜平助からの手紙〜≪はじめに≫

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え〜〜っと…千鶴、だよな?
屯所での生活、結構息苦しいかもしんないけどさ。
何かあったら聞いてやるから、逃げようとか思わないでくれな?

自由に外には出してやれねぇけど、何か面白い事とかあったら教えてやるよ!
こうやって、短い文をこっそり渡すくらいなら皆も気づかないだろうし。

あ、それでさ。
そういやお前の名前、どう書くかは知らなかったなぁって思ってさ。
漢字?ひらがな?文字にするとどう書くんだ?
良かったら教えてくれよな!
それじゃ。

藤堂平助




〜平助からの手紙〜≪一≫

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千鶴へ

俺、平助だけど。
一応、宣言したからには何か書こうと思って手紙を書いてみたんだけど。
普段やらねぇからあんまり思いつかねぇっていうか…
お前が面白いと思うかとか色々考えてたら、結局何も書けなかった。
悪い。

つうかまぁ、今日は巡察も無かったし、目新しい事が何もなかったってのもあるんだけどさ。
あ、千鶴の部屋から庭の花見える?
あれって何て花かわかったら教えてくれよ。
可愛いなってちょっと思ったからさ。
そんじゃ。

藤堂平助



〜平助からの手紙〜≪二≫

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花の名前、教えてくれてありがと。
やっぱ女の子って、そういうのに詳しいもんなの?
まぁ俺があんまり知らないってだけなのかもしれねぇけど。

あ、そうそう。文に挟んでおいたけど、これやるよ。
千代紙なんだけどさ、綺麗だろ?
鶴の柄とか菊模様とか色々あって。
つっても俺は使わねぇし、何かの気まぐれで買ったと思うんだけど…
俺、あんま折り紙とか分かんねぇし、持っててもしょうがないからさ。
何か折れたら見せてくれよな!
そんじゃ、まぁ寒いけど風邪ひくなよ。

藤堂平助



〜平助からの手紙〜≪三≫

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おはよっ。
今日は雨だな〜…。雨の日に巡察って、結構大変なんだよな。足元ぬかるむし。
まぁそれは皆同じなんだから文句言ってもしょうがねぇんだけど。

雨のせいでか知らねぇけど、今日はなんか一段と冷えるよなぁ。
千鶴は平気か?江戸と違って京の寒さって芯に来るから。慣れねぇんだよなぁ、この感覚。
まぁ風邪ひかねぇようにな、俺、そろそろ行くから。そんじゃ!

藤堂平助


〜平助からの手紙〜≪四≫

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千鶴へ

飯、一緒に食えるようになって良かったな。土方さんの態度見た時は一瞬ヒヤッとしたけどさ。あの人も、あれで案外お人よしだから。
やっぱ飯は一人より大勢だよな!
せっかくの飯も、一人だと味気ねぇし、寂しいし。

あ、でもここの場合、騒がしいからお前にとってはどっちもどっち…か?
あ〜〜、えっとさ、一応聞くけど…
俺らと食事するの、別に嫌じゃないよな?
ってやべ、俺食事当番じゃん!!
これ届けたら飯の準備してこなきゃ。
じゃな!!


藤堂平助



〜平助からの手紙〜≪五≫

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そっか。嫌じゃねぇなら良かった。
ほっとした。

そういやお前、今まではずっと親父さんと二人だったんだもんな。
その親父さんも今は行方知れずだし…
早く会えると良いんだけどな。

俺らも頑張って探すからさ、ちょっと辛抱しててくれよな?
部屋にこもってるって退屈だろうけどさ。

あ、そうだ。
俺、何か土産買ってくるよ!それ楽しみにしてればちょっとは気が晴れたりしない?
じゃ、楽しみにしててくれよな!!

〜藤堂平助〜



〜平助からの手紙〜≪六≫

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千鶴

何か手紙書くのも久々だな。
えっと…さ。
ごめん、土産中々買ってこれなくて。
バタバタしちまって、ゆっくり選んでられなくてさ。
かと言って、適当なもんで済まそうって気にもならなかったて言うか…。
言い訳だけど、やっぱ喜んでもらえる方が俺も嬉しいしさ。

つうわけで!!
やっぱ女の子は甘いもんかな〜って思って団子買ってきたんだけど、団子を手紙で包むわけにもいかねぇし、てかこっそり渡せねぇし。
それに、団子食うっつったらお茶も飲みたいし?
あとで部屋に持っていくよ。
他の連中に見つかると取られるかもしれねぇから、お前の部屋で食うのが一番安全だと思うんだよな〜。

待っててくれよな!!


藤堂平助




〜平助からの手紙〜≪七≫

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お疲れ様。
初めての巡察で疲れてるみたいだったからさ、声かけんのやめて手紙にしてみた。

とりあえず、巡察付いてこれるようになって良かったな。
最初聞いた時は、一君ってばえらい事したな!って思ったけど、うん、俺らと一緒に回れば安全だし、お前も外に出れるし、綱道さんの手がかりも見つかるかもしれないし…良い案だよな!!

俺の隊に同行する時は、俺がしっかりお前を守ってやるから。
一緒に頑張ろうな!

今日はゆっくり休めよ?
そんじゃ、お休み。


藤堂平助




〜平助からの手紙〜≪八≫

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あの、さぁ…
え〜〜っと、一応言っておきますと、わざとじゃありません、ホント、うん。

朝ぼ〜っとしてたっつうか、聞き漏らしたっつうか…、だってバタバタしてる時に土方さんがぼそっと言って来たもんだから聞こえてないのにハイハイ言っちまったつぅか…
千鶴が云々って言うから後でお前に聞けば大丈夫かな?とか思って…ですね?

ほんとごめんなさい。
マジでのぞくつもりは無かったです!
でも、でも見えてねぇから!ほんとに!!
見たのはお前の顔だけだから!!
下は見てねぇから!
お前は俺の見ちゃったかもしんないけど俺は男だから気にすんな!?

だから、まぁそういうわけでして…
すみませんでした。
これからはちゃんと確認します、反省してます。
そ、そうだ!お前が風呂入る時は俺が見張るし!!
うん、それが良いと思う!
俺みたいなウッカリがいたらやばいしな、うん。
後で土方さんにも相談しとく。

で、さ。
その、詫びっつうか、あれなんだけど…、可愛かったからお前にやろうと思って。
鏡なんだけど、花の彫り物があって良いかなって。
じゃ、じゃあおやすみ!!

藤堂平助




〜平助からの手紙〜≪九≫

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最近元気ないけど、大丈夫か?
何か心配事とかあれば言えよ、出来る事あれば協力するからさ。

千鶴って、結構腹ん中ため込むだろ、何となくわかる。
まぁ話したくない事もあるだろうし、何でもかんでも人に相談するのもどうかと思うけど、さ。
たまには、甘えたって良いと思うぜ?
話聞くくらいなら出来るからさ。

左之さんとか土方さんみたいに上手い助言できるわけじゃないけど、俺、お前の力になりたい。
そんだけ。
え〜〜っと、あと何か言う事あったかな。
そうだそうだ、実は頼みがあったんだった!でも必要なもんがあるからまた今度にするかな。
じゃあまた後でな!!

藤堂平助





〜平助からの手紙〜≪十≫

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千鶴へ

今日、何か急に冷え込んだけど大丈夫か?
雨も降ったし、昨日とはえらい違いだったからちょっと心配になってさ。
もし布団足んなかったら言ってくれよ、俺が調達してやるからさ!
俺の使ってる奴貸しても良いし、遠慮なく言ってくれよな!!

しかし、こういう寒い日って鍋とか食いたくなるよなぁ。
皆でつつくのすげぇ楽しいじゃん?
とはいえ…俺らの場合、取り合いになんだよなぁ、特に新八っつぁん!!
なんっで俺の掴もうとする奴を狙うんだかなぁ。そう思わない?たくっ…
とりあえず、今度鍋やろうぜ!!
千鶴も遠慮なく混ざれよ?お前のおかずは俺が死守してやるから!

そんじゃおやすみ。

〜藤堂平助〜




〜平助からの手紙〜≪十一≫

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この間、っつってもちょっと前の事だけど…
頼みがあるって言ったの覚えてる?
やっと好みのもんが見つかってさぁ、改めて頼みごとしたいなぁって…。

実は木刀入れる袋作って欲しくてさ。
時々屯所の外で剣術修行も良いかなって思うんだけど、抜き身で持って行くのも何か格好悪いし。
で、好みの柄の袋に入れたらちょっと洒落てるかなって思ったんだけど…
良く考えたら俺、袋なんて作れねぇし。布買っても布のままってわけ。
でも、せっかく入れるなら気に入った奴が良いし、これ!って布も見つけたわけで…

頼まれてくれっかな?
あ、別に急ぎとかじゃねぇし、すぐに無理なら全然良いし!
でも、他の頼む当てもないからさ、駄目?
頼まれてくれたら嬉しい。
そんじゃ。

〜藤堂平助〜



〜平助からの手紙〜≪十二≫

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あのさ、ありがとな。
何か夜中まで頑張って縫ってくれたみたいで…
千鶴って真面目だよな。
あ、でさ!さっそく木刀入れて使ってるんだぜ!
すっげぇ気に入ってる。本当にありがとな!!
へへ、実は他の皆にも洒落てるとか言われてさ〜。
どこで手に入れたんだ?って聞かれたから内緒だって言っといた。
千鶴に作ってもらった何て言ったら、我も我もってお前のとこに行っちゃいそうじゃん?
だから、千鶴も内緒にしといてくれよな!

うし、そんじゃ今日も張り切って仕事すっかな。
あ、今度礼に何か買ってくるよ!何が良い?
今度の手紙に書いておいてくれよな!

〜藤堂平助〜




〜平助からの手紙〜《時には手紙で無く》

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「あれ?千鶴いねぇの?」
平助が朝飯の席に着くと、いつもなら隣にいるはずの千鶴がいない。
不思議に思って首を傾げていると、
「どうも風邪みたいでな、今、山崎が部屋で見てるぞ」
少し先にやってきていた原田が肩を竦めてそう言った。
「え!!マジで?ここんとこ寒かったからなぁ。そっか…せっかく…」
平助はその言葉に衝撃を受けたように目を見開き、それから少し俯いてぽそっと何事かを呟いた。
「あ?何がせっかくだって?」
「え!?いや、せっかく今日の朝飯はめざしが付いたのになってさ!あは、あははは!」
「…」
何かを誤魔化すような口調に原田が気づかない訳も無いが、わざわざ突っ込むほど子供でも無い。
原田は小さく笑って見逃してくれるのだった。

「そっか…千鶴、具合が悪いのか…」
朝飯を終えると、平助は小さくため息を吐きながら千鶴の部屋へ様子をうかがいに向かう。
せっかく非番なので、今日は千鶴を茶屋にでも誘おうと思っていたのだ。
だが…
「こほっ、こほっ……」
部屋の中で苦しげに咳をする音を聞いては、勿論誘えるはずがない。
「…」
具合どう?っと声をかけようかとも思う。
だが、気遣い屋の千鶴の事だ。かえって邪魔になってしまうかもしれない。
平助は声をかけるのはやめて、部屋の前で少し様子をうかがってから踵を返すのであった。
そして、
「あ、そうだ」
ふと何かを思いついたらしく彼は勢いよく駆け出していったのだった。

〜☆〜

「こほっ…はぁ…あれ?何だか良い匂い…」
眠っていた千鶴は、何かに誘われるようにうっすらと目を開いた。
ほんのりと部屋に優しい香りが広がっており、彼女はぼんやりしながらも鼻を軽くひくひくさせる。
甘くて…どこか安心する香り。
ふよっと口元を綻ばせて、香りをまとって微睡んでいると…
「すぅ…すぅ…」
いつの間にかまたとろとろと眠りについてしまう。
その寝息は、とても穏やかになっていたのだった。

〜☆〜

「平助、お前なんかくせえぞ?」
「はぁ!?どこがだよ!!」
鼻をひくつかせながら永倉に言われ、平助は目を吊り上げて永倉の鼻をつまむ。
「へめっ、はにふんだよへいふへ!!」
「うっさいな、俺はくさくねぇ!!」
鼻をつまんでくる平助を押しのけようとする永倉と、馬鹿言ってんじゃねぇっと怒れる平助。
と…
「くさい?どっちかと言うと良い香りだろうが。だが平助、ずいぶん上品な香じゃねぇか、一体どうしたんだ?」
そんな二人のやりとりに、土方が割って入った。
「え!マジで?土方さんも良い匂いだって思う?だよな!そうだよな!!」
さっき匂い袋買ったからな〜っと心で思いながら、詳細は話さず平助は勢い込む。
「え、ああ、まぁな」
そんな勢いにきょとんとしながらも土方は頷き、
「そうかぁ〜?」
永倉は不満の声をあげる。
「新八っつぁんに分かんないだけだろ!たくっ。くさいとか言うなよ、びっくりするじゃん」
たくっ、っと息を吐きながらも、土方の太鼓判を貰えたので少し安心する。
(土方さんが良いって言う位だし、やっぱ良い匂いなんだよな、よかった)
そして、先ほどそっと部屋に置いてきた綺麗な縮緬で作られた匂い袋を思った。
(きっと千鶴も気に入るよな?俺も良い匂いと思ったし…早く風邪治ると良いんだけど…)

時には手紙で無く、思いを込めた贈り物を。
相手を思って贈れば、その心ごと相手に届くであろうから。

〜終〜

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