血の運命の部屋

□愛する人には焼きもちを
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ジョセフ視点

あぁ、気にくわない!何がって、あの男が。スケコマシが女たちと楽しそうに話しているのが。お前がモテモテなのは分かったから見せつけんな。このスケコマシーザー!嫌みじゃねぇか。悪趣味だぜ、コノヤロー! 

「ったく…少しはこっち向けっての!」

そりゃあシーザーは全世界の女を虜にする位の魅力がある。…いや、男の俺だって虜になる位だから、女なんてチョロいもんか。
それぐらい魅力的だったりするし、カッコいいクセに彼女の一人もいないんだぜ?そんなイケメンに寄り付かない女なんていないだろ?しかも、逆ナンの断り文句が『好きな人がもういるから』だってよ!どこまでキザなんだか。

「おい、行くぞ」
「うぉっ!?いきなりなんだよ!」
「いきなりじゃねぇ。もう五回は呼び掛けたわ、このスカタン!ぼーっとして…どうしたんだ」

いつの間にか正面に立っていたらしいシーザー。さっきまでずーっと女たちと一緒に楽しそうに喋ってやがったくせに、何で俺といるときは無表情なんだよ!?

「べっつにぃ!シーザーちゃんはずいぶんモテモテですねーって思っただけだ!」

だいぶ皮肉を込めて言ってやる。本当は“こっち向け!”とか“俺に構え!”とか思ってたのは内緒だぜ。
しかし、俺の最大限の皮肉にも動じていないシーザーは正面を向いたまま喋り始めたんだ。

「どうだか。本当は焼きもちとか妬いてたんじゃねぇの?」
「けっ…誰が…!」

お前何ぞに!と続けて立ち上がろうとしたら、シーザーが俺の前に立ちはだかっていた。

「…何だよ」
「正直に言えよ」
「…だからあれが正直っ…」
「じゃあ何で泣きそうなんだ?」

泣きそう?誰が?俺が?泣く要素なんて一つもねぇはずなのに何で?
焼きもち妬いていたから?違うね。
シーザーがこっち向いてくれたから、安心したんだ。

「悪いかよ」
「やっぱり」

何だよ。やっぱりって!目の前のシーザーをキッと睨むと奴はクスクス笑っている。チクショー!絵に描いたようってこーゆーことか!

「バカにしただろ」
「するわけないだろ。お前は知らない。俺がどれだけお前が好きで、何人のやつに嫉妬したかを、お前は知らないだろ」
「っ!?」

やっぱりこいつはスケコマシで、カッコよくて、いけすかねぇけど、俺と同じ事を思ってくれていて、それが嬉しくて、その場に座っている俺の頭を撫でるのが愛しくて。

「おっ…女と楽しそうに話してたのにか?」
「断ったら話が弾んだだけだ」
「どうだか!」
「何だよ。恋人の事が信じらんねぇのか?だったら今晩にでも教えてやってもいいんだぜ?」

耳元でそんな甘ったるい声だすな!腰が砕けそうになるだろ!?

「いやっ…止めとくぜ」
「じゃあゆっくり教えてやるよ」

このままじゃこのスケコマシのペースに飲み込まれちまう!

「俺を心配させるような奴に、俺のお世話は任せらんねーんだよ!」

勢いよく駆け出して熱がこもった頭を冷やす。あぁ、恥ずかしい。よくもまぁ公衆の中でそんな恥ずかしい事が言えるもんだ!
シーザーは微笑んで俺を追いかけた。


あとがき
ノートに書いていたシージョセをupしました。ジョセフってばオトメン!

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