血の運命の部屋

□寒いのに暖かい
1ページ/1ページ

はぁっと息を吐くと白くなる。日もすぐに落ちて既に暗さが出ている。紅葉も綺麗に映えている。首に巻いたマフラーに少し顔を埋めて承太郎はそそくさと家に向かった。が、校門を出たとき後ろから声を掛けられる。

「承太郎」
「ん、花京院か」

声の正体は花京院。何かとよくつるんでいる二人。一緒に帰ろうよ、と花京院がニコリと笑う。彼もまた、マフラーを巻き、白い息を吐いて寒そうに手をこする。ニコリとした花京院に承太郎は無造作にあぁ、と返事して二人は帰路に着いた。

「にしても……本当に寒いよねぇ……」
「そうだな」

少し会話をしては無言になり、また少し会話する……そんなことが続いたが、それでも二人は満足だった。『二人でいる』という事が重要だったから。なんだかよく分からない、ホッコリとした気分になるのだった。
コンビニの近くを通ったとき、花京院はぴたりと足を止めた。

「ねぇねぇ承太郎、コンビニ寄ろうよ」
「寒いしな…」

そう言ってコンビニに入っていった二人。すぐにレジへと行く花京院の後ろを承太郎はついていく。

「あんまん一つ……承太郎は?」
「肉まん……」
「かしこまりましたー」

嬉しそうに頬を緩める花京院につられて承太郎は少し口角があがる。

「ありがとうございましたー」

会計を済ませてコンビニを出る。相変わらずの寒さの北風に少しびっくりする。

「うぅ……外は冷えるね……」
「だな、こういう日の肉まんってなんかすげぇうまいんだよな」
「僕はあんまんだけどね」

それぞれ口にほおばりながら帰宅する。隣の芝生は青いとはよく言ったもので、二人で違うものを食べていると不思議と相手のが美味しそうにみえる。

「ねぇねぇ承太郎、その肉まん、一口くれよ。僕のあんまんあげるからさ」
「あ?別に良いけど」

ほれ、と花京院の前に肉まんを差し出す承太郎は花京院が持っているあんまんにかぶりつく。まさかそのまま食べられるとは思っていなかったらしい花京院は驚きながらも承太郎が差し出した肉まんにかぶりついた。

「ん、やっぱり肉まんもおいしいね」
「あんまんもうまいよな。サンキュ花京院」
「こちらこそ」

ほかほかと温かな湯気の出るコンビニの肉まんとあんまんをかぶりつきながら二人はゆっくりと歩いていく。空にはすでに一番星がきらめき始めていた。

「ピザまんも美味しいよね」
「俺はカレーまんも好きだぜ」
「コンビニの惣菜って美味しいよねぇ」
「あぁ」

それは何気ない会話に何気ない帰り道、しかし二人からすれば全てが大切な思い出なのだ。



何気ない日常がこんなに楽しいなんて!

あとがき
寒さから始まった花承。もっと違う露仗も思いついてました。ぶっちゃけ。話がまとまったらぅpします。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ