☆SS☆

□◆短編:にょたトキ妄想/北斗四兄弟◆
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兄様…
兄様はやっぱり私の事なんて、なんとも思ってないわよね…
そうよ!
だって私達は兄妹だし。
でも、もし兄様が私を求めて来たら?
ううん!ダメよ!そんな事!
だって兄妹だし…
でも…
兄様のあの逞しい腕で捕まえられたら、私には逃げる事は不可能だわ。
きっとそのまま兄様に抱きすくめられて…
キャッ☆
あぁ… もしそんな事になったら私…

「姉者!姉者〜!」
弟のジャギが自分を呼ぶ声ではたと我に返る。
(ヤダ…私ったら、なんて事を考えてるのよ!)
自分の妄想に頬が熱くなる。
「姉者、ここにいたのか。…ん?顔が真っ赤だぜ?どうしたんだ?まさか熱でもあんのか?風邪かっ!?」
ジャギがあたふたとしながらおでこに手を伸ばす。
「な…なんでもないわ!ちょっと…その…走ってたのよ!平気よ!」
そう言ってジャギの手を避けた。
「で?何か用?」
平静に戻って聞き返す。
「う?ああ、そうだ!兄者が呼んでたんだ!道場に来いとさ。」
さっきまで兄ラオウの事を考えていたせいか、見透かされた気がしてちょっとギクリとする。
「わかったわ。すぐに行きます」
「おう!じゃ、たしかに伝えたからな!」
そう言うと踵を返して小走りに去って行った。


(兄様…何のご用かしら?)
足早に道場へ向かい、入り口の大きな扉を力を込めて押す。
ギギー…と低く軋む音をたてながら扉が開く。
中を覗き込むと、一際大きな人影が羅漢像の前で正座していた。
「兄様、お呼びですか?」
そう声をかけるとその人影は音もなく立ち上がる。
「来たか、トキ。お前、最近何を考えておるのだ?」
「えっ!?」
(まさかさっき考えてた事が本当に兄様には見透かされているというの?)
トキは動揺を隠せない。
ラオウはじっとトキの目を見つめ、無表情で続ける。
「近頃のお前は修行に全く身が入っておらぬ。女だから伝承者にはなれぬとて、己の身は自身で守らねばならぬ。このラオウの妹なら尚更」
2mを超える長身から見下ろしながら言い放つ。
「あ…あぁ… すみません兄様… おっしゃる通りですね…」トキは内心安堵しながら目を伏せる。
「これから組み手を行う。今日はジャギとケンシロウとも組むのだ。いいな。」
有無を言わせぬ物言いだ。
「はい、わかりました、兄様。すぐに準備致します。」
トキは小走りに控えの間に向かった。
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