小説

□番外U
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壁に背中をくっつけてあっくんと向かい合って、だんだん顔が近づいて…。

「忠人さん、だめだよ、弟さんたち帰って来ちゃう…」

お風呂場の外から美咲ちゃんの戸惑った声が聞こえてきて、俺たちはぴしりと固まった。

「いいだろ…ちょっとだけ…」
「んんっ…だめ…あ…」

これは…。
すぐ外の洗面所で事がおっぱじまろうとしている。ちゅちゅちゅとキスをする音が聞こえて、恥ずかしくなってあっくんの服の袖をぎゅっと握った。
お兄さまと美咲ちゃんはそういう関係だったんだ。

「…だめ…もう…」
「どうして…」
「だって…」
「美咲ちゃん…」
「あ、ん…」
「…勃ってる…」
「そんなとこ触るから…」
「俺も…触って」
「あぁ…すごい…硬い…」

ええええ。どうしよう。
あっくんを見上げると、実兄のこんな濡れ場聞かされるなんて何ていう地獄ですかと顔に書いてあった。
でしょうね。

「でもだめ、ほんとに…」
「すぐ終わるから…」
「いや…」
「美咲ちゃん」
「あぁっ」

美咲ちゃんの吐息に重なって、服が床に落ちる音がする。脱いでる。どうしよう。

「ほら…」
「だめだってば、忠人さん」
「逃げないで。な、すごいだろ…」
「…うん…」
「したい…」
「もう…してるくせに…」

くすっと笑いあってまたキスの音がする。

「美咲ちゃん…ほら…もう入っちゃうよ」
「…うん…」
「ああ…」
「…ん…っ、あ…」
「すごい…」
「あ…あぁ…」

今どうなってます?入りました?
美咲ちゃんの声がすごいえっち。かわいい。どんな顔で抱かれてるんだろう。

「きもちいい…」
「んっ、美咲ちゃん」
「ああ…忠人さん…」
「硬い…」
「忠人さんの中…すごい…」

うん?

「美咲ちゃん…もっと奥まで…あっ…来て…来てくれ…」
「もう…届かないよ…ここまでしか…んんっ」
「ああっそこ、そこいい…」

抱いている…美しい顔の美咲ちゃんがワイルド系お兄様を抱いている…。

「時間ないから…美咲ちゃん…動いて」
「恥ずかしい…」
「頼むよ…好きだ…美咲ちゃん」
「……ずるい…」

美咲ちゃんのその声はすごく切なげだった。
そうしてぱんぱんと激しく肌のぶつかる音がし始めた。

「ああっ!美咲ちゃん、いい、いいよ」
「忠人さん…ああ…っ」
「は、はぁ、ああっ、あ、あ、はげし、あ、あー、やばい潮ふきそう」
「だめ、がまんして…今日は…」
「だってこれ…バックでこんな…っ、激しくされたら…」
「だめだよ、がまんだよ、おちんちん押さえて…」

美咲ちゃんは切羽詰まった声で言う。忠人さんのはあはあっていう息遣いも聞こえる。

「ああ…あ…すごい…」
「あぁ、忠人さん…でそう…イきそうだよ…」
「美咲ちゃん…」
「どうしよ…中出ししていいの?」
「ああ…中に出してくれ…」
「…っ、はぁ…ただ、ひとさん…あっ…あ、ほんと…でる…」

ぱんぱんぱんぱん。

「美咲ちゃん…俺も…いきそ…」

すごい。美咲ちゃんの華奢な感じから想像もつかないくらい激しい音。ギャップえげつない。

「ああっ、出る、忠人さん、出るよ、ああ」
「出して…!はあ、あ、俺も出る、出る…」
「あぁ、忠人さん、僕の子ども孕ませたい…っあ」
「美咲ちゃん…!」
「あ、っ…!」

孕ませたいとは…美咲ちゃん…やる…。…すごい…。

それからちょっとの間キスの音がして、またくすっと笑いあって、手早く服を直して2人は洗面所を出たようだ。
すごい体験をした…。

「あっくん」
「完全に萎えた」
「ええ?!無理!俺ビンビンだもん!」
「つか具合悪い。吐きそうだし腹も下しそう。不眠症になりそうだしめちゃくちゃ過食気味になりそうだしその後拒食になって痩せそう」
「やばそう」

お風呂場から出たあっくんの顔は本当に蒼白で、俺が一人でお兄様のところへ行って事情を話し、帰らせてもらうことに。

「え、大丈夫なのか彰。ちょっと様子を」
「だめです、今お兄様の顔見たら多分倒れる」
「なんで?」
「えっと、そういう日みたいですね、なんか」

えへへ、と笑ってさよならをする。
隣で美咲ちゃんが心配そうな顔をしている。
儚げな美人。だが彼氏を孕ませることを想像しながら中出ししちゃう中々な人だ。
なかなかだ。
個性的なお知り合いがまたちょっと増えた。

ちなみに後でわかったんだけど、忠人さんは27歳で、美咲ちゃんはなんと32歳だった。
若い男の養分を吸って若さを保っているに違いない。






-end-
2017.4.3


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