小説

□王子と姫の日常。
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「本城は何味」

食べ終わって立ち上がろうとしたところで姫野が床をガン見しながらぽつりと言った。


ジュース飲むんだね。


「姫野は?」
「マンゴーオレンジ」
「じゃあ俺はイチゴミルク」

多分、姫野の第2候補はイチゴミルクだから。交換できるように。


俺たちはジュースを片手にライブハウスに向かうためにショッピングモールを出た。

外に出るとさすがに寒い。

空いた手で何気なく姫野の手を引いたら、キュッと握り返された。

俺の理性を誉めてあげたい。



 *



「姫!本城も!2人で来てくれたんだな!ありがと!」
「中川、すごいんだね、かっこよかった」
「本城がすごいすごいうるさかった」

自分たちの出番が終わって、遊びに来てくれた姫と本城を相手に雑談をしていると、メンバーの連れの女の子たちが寄ってきた。


少し皆で話した後で姫と本城がトイレに行った。
その瞬間がっつかれる。

「中川くんの友達?」
「まじイケメンなんだけど!」
「黒髪の方かわいすぎる!」
「誰なの?」
「彼女は?」

いやあいつらはなんて言うかお前らのこと多分これっぽっちも興味ないっていうかそもそも女子が目に入ってるかどうかも怪しいっていうか

「ねぇ今度みんなで遊ぼう?」
「中川くんさっきの人たち誘ってよ!」
「ねぇだから誰?」
「同じ高校?」

おい姫!
お前らのことどこまで言っていいの?!
学校ではほぼ公認だけどうち男子校だから別に目立たないってか守られてるけど他校に漏れてもいいのか?!
お前らは男子校だから成り行きで付き合ってるって感じじゃないよね?本気でもう他人が入る隙なんかないよね?!

「聞いてんの中川くん!」

どうなんだよ姫!



 *



なんでだ。
少し拗ねてみただけなのに。
トイレの個室に押し込まれて唇を塞がれた。


「…ん……だって本城が…っんん…」
「俺が何」
「女に…優しくしたから!…んやぁ…んはぁっ」
「姫野はかわいいけど本当に何もわかってないね」
「んん…んふっ…」
「こんなに姫野しか見てないのに…かわいい、もうここでしちゃおうか」
「んっだめ!やめろ中川が怪しむって、ぁあっ」
「いいじゃない、どうせ中川は知ってるよ。ね、姫野、大好き」
「ライブハウスのトイレだよ?!誰か、ぅ、入って来、あんっ」


なんか本城が嬉しいこといっぱい言ってるけど噛み締める暇がない!
こんな狭いトイレでこんなことしてたら見つかる!
俺は本城と違って変態じゃないのに!

あぁ…
でも抵抗する力が…
もう…本能に…負けそう…

…うぅ……ああっ



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