小説

□安達さん、イート。
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「食べものを…安達さん…ああ…」
「大丈夫、心配ない。私が後でちゃんと、残らず美味しくいただくよ」

でもその前にみっちゃんを、と言って、安達さんは僕の唇を吸いました。

のしかかる気配。
後ろに倒れる僕。
安達さんの荒い息。
外れてしまう目隠しの帯。
目に入る惨劇。

「ぼ、僕の股間!」
「おとうふまみれだね、ふふ」
「笑い事じゃありませ、んんっ、んー」

安達さんはおとうふまみれになった僕のあそこを口に含みました。

「ああっ」
「おいしい…奇跡のコラボメニューだ…」

安達さんは音をたてることなく、とても上品におとうふを食べていきます。
僕はそれを見て、なんだか安達さんのことが愛おしくてたまらなくなってしまいました。

「あ、ダメです、安達さん、僕出ちゃう」

白いのが、白いのに、ああ、どうしよう、いけない。

「出したまえ。存分に」

にこりと笑いながら安達さんが言うので、僕は遠慮せず出すことにしました。

「ああっ…あ…!」
「んふふ、相変わらず早いね、みっちゃんは」
「だって…だって…」

安達さんは涙目になった僕のまぶたに優しくキスをしてくれました。

「さあ。みっちゃん。お風呂に運んであげよう」
「お風呂?」
「そう。今日は暑かっただろう?ぬるめのお風呂がいいと思ってためておいたよ」

僕の家なのに。いつの間に。
思いながら僕は、お姫様抱っこをされて浴室へ連れて行かれました。

湯船にそっと僕をおろした安達さんの股間を何気なく見ると、猛り狂った獅子のようです。

「安達さん…」
「みっちゃん、お風呂の湯に揺られてお豆腐のように綺麗だよ」

安達さんの言うことがよくわからなかったのですが、安達さんは構うことなく、仁王立ちになったまま僕の裸体を見つめ、性器を扱き始めました。

「みっちゃん、みっちゃん、ああ、綺麗だよ、かわいいね、ふう、んん、っあ、ふう、はあ」

安達さんはそのまま浴槽の縁を跨いで湯船に入り、後ろにまわって僕にゆっくりペニスを挿入しました。

「ああんっ…んん…あ…」
「っ、気持ちいいね…みっちゃん…あぁ」

安達さんが腰を動かすたびにお湯が海の波のようになりました。

「おとうふ…あぁっ、ん…僕も食べたかったな…」
「みっちゃんにはもっと、んん、いいものを、あげるからっ、ああ、みっちゃん、愛しているよ」

そして安達さんはペニスを僕のおしりから抜き、お湯の中に射精したのです。

「ああ、っ…!」
「はあ…はあ…安達さん…」
「みっちゃん、私の無数の分身が今この大海原に」
「そうですね…」
「ああ、彷徨い泳いでいるうちにみっちゃんの体内に入って君が妊娠したらどうしようか」
「それは困ります…僕はまだ学生だし、その…」

お母さんになる自信なんかないと言おうとして、やめました。
振り返ると、安達さんがとても優しい顔で微笑んでいたからです。

安達さんはお湯をすくって僕の肩にゆっくりかけました。
あたたかくて安心します。

「ねえみっちゃん。私はね。悲しい事故か何かでもし君が命を落とすようなことがあったら、君の体を残らず全部、食べてしまおうと思うんだよ」

少し怖い気がしたのに、安達さんの声が優しくその上自信に満ちているので、僕は「そうか」と思っただけでした。

「僕は安達さんに食べられちゃうんですか」
「そうだ。みっちゃんの体はどんな味かな」
「知りたいですか」

とろとろと湿った浴室の空気の中、安達さんはそれに負けないパリッとした声で言うのです。

「まっぴらごめんだ」

まっぴらごめん。

僕は、たくさん生きていたくなりました。

「みっちゃん。そんなことより今日のお夕飯は豆乳シチューだよ」
「シチュー!豆乳シチューどこ!」
「私の家だ。あ、こら待ちなさい、100まで数えてからだよみっちゃん!こんな暑い日にだってシチューシチューなんだから、全く君には季節感というものが無いのか」

僕は安達さんのため息を背中に受けながら、にこにこを抑えられずにふわふわのタオルで体を拭き始めるのです。







-end-
2015.9.30


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