小説

□婚前旅行
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「そ、お、おまえの、お、」
「え?どうしたって?相内大丈夫?」

壁にもたれかかった格好の俺のパンツに手をかけて、相内は言いにくそうに言い放った。

「…舐める」
「え、えっ、風呂も入ってないのに?」
「お前は風呂に入らないでやろうとしてたろ」

いいから脱いで、と言われてものすごく照れながらパンツと下着を膝までずり下ろすと、相内も少し口を尖らせながら上に乗っかってきた。

「何よ…相内ったら…照れちゃってさ…」
「お前もだろ…」
「結局相内だって…したいんだろどうせ…俺と…俺にがっつかれたいんでしょ…旅行だからって…旅行だからって…盛り上がっちゃって…」
「は…違うし…お前だって…」
「そうだよ俺は最初からエロいことしか考えてねえよ、そう言ってるだろさっきから」

顔を赤くしながら瞬間見つめ合う。
ふいに相内が俺のペニスにキスをした。

「っあ…」

ちゅ、ちゅ、と触れるだけのキスを何度もされて、たらりと我慢汁を垂らす。
それを辿るように相内の舌がつーっとペニスを舐め上げた。
思わず身震いをする。

「ごめ、ん…あんまり、もたないかも…」

どうしよう。
このまま射精したいし、我慢して押し倒したい気もするし、ワガママ言って怒られたい気もする。

「ねえもっとしゃぶって、エロいことして」

腰を少し浮かせて相内の口元に先っぽをすりすりすると、相内が少し口を開けて咥えた。

「んー…あ……きもちい…」

俺の腰をホールドするようにしてフェラをする相内。髪がさら、さら、と動いて、眼鏡にかかっている。

「なぁ、風呂、入ろ。だめ?」

このままイくのが勿体無くなって聞くと、相内は「俺もそう言おうとしてたとこ」と真面目くさった顔で答えた。

2人してもぞもぞと、多少気まずく思いながら服を脱ぐ。だって俺のはもはやビンビンのギンギンなのだ。

「同棲したらさ」

照れくささを紛らわせたくて話しかけると、相内もこっちを見ずに「ん」と言った。

「風呂なんか一緒に入り放題じゃん。毎日相内の顔見て、体見られるんだなと思うと」
「そんな、簡単には見せないぞ」
「は?意味わかんね。見るから。盗撮するから」
「犯罪だ」
「意味わかんねえって!同棲してて盗撮するののどこが!」
「…同棲してるのに盗撮する意味は」
「だってお前が見せないとか言うから」

相内はタオルで前を隠しながらなぜかバスルームの方へ行こうとする。

「どこ行く?」
「え…風呂…?」
「いや!露天入んないの?」
「露天?いや、露天て、外だし」
「せっかくあるんだし露天入ろうよ、露天でしようよ」
「は!隣が家族連れだったらどうする」
「声をひそめるんだよ」
「…無理だ」

ニヤリと笑ってしまう。

「俺とのセックスが気持ちよすぎて声出ちゃうもんな、そう、仕方ない。大声で喘がざるを得んからな。俺のは。はっはっは」

相内はムッとした顔をして「それほどではない」と言った。

「じゃあ露天でいいじゃん」
「…は、はしたないだろ」
「声出るから?」
「違う」
「我慢とかできないわけ?まぁ仕方ない、じゃあ内風呂でいいよ」

俺の声を背中で聞きながら、相内が無言で露天風呂へと続く扉を開けた。
粘り勝ち。



隣の露天とは当たり前だが壁で仕切られている。
音は筒抜けだけれど、今は無人のようだ。

「相内って、メガネないとどのくらい見えないの?」
「今、足元が見えない」
「手繋ごう」
「お前がイケメンに見える」
「一生メガネかけんな」

並んで湯船に浸かり、うあーとかんーとかいう声が出た。温泉最高。

そして、どちらからともなくキスをした。
最初は触れるだけの。だんだん深く。



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