小説
□森田と岡崎 往復書簡
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岡崎正浩様
手紙を頂き、ありがとうございました。
大事にします。
何回も読み返し、岡崎さんがどんな顔をして書いてくれたのか考えて、仕事の疲れも飛びました。
岡崎さんの字はかわいいね。
漢字が書けない事をそんなに気に病む必要はないと思います。
実際、こうしてたくさん字を書く事、自分も久しぶりです。
もし読めない漢字があれば後で聞いて下さい。
折角(せっかく)なので、口下手な自分が普段あなたに伝えきれていない事を書こうと思います。
自分の人生の全てがあなたになってしまいました。
自分は、こうなる事を恐れていました。
依存して生きるのはとても怖いからです。
でも、こうなってから、なぜか生きるのが存外楽になりました。
あなたといると自分は、ほっとする。だから、気を抜いていられる時間が増え、笑える時間も増え、眉間にしわが寄るのは仕事中だけになりました。
自分は今、幸せを噛み締めて生きています。
あなたは怒るかもしれないけど、やっぱり未だに、あなたが急にいなくなることを考えてしまうことはあります。
でもすぐに、あなたが隣で笑ってくれるので、大事なのは今だと、今のこの人を大事にしたいと、そう思えて、そうするととても幸せです。
あなたがそれを教えてくれたのです。
あなたに出会えたことに本当に感謝しています。
それから、ずっと言いたかった事があって、出会った頃、何度も失礼な態度を取った気がします。
申し訳ありませんでした。
あの頃の自分を殴りたいです。
あのラーメンをそんなに喜んでもらえると思いませんでした。
褒められて照れている訳ではなくて、岡崎さんは褒め上手なので、何でもないようなことを褒められて戸惑うのです。
本当に、あれは誰にでも作れるようにできているんです。
岡崎さんも作れますよ。
餃子も、家で作れます。
自分の手作りでいいなら、今度作ります。詳しくないので、作り方を調べておきます。
長くなってすみません。
岡崎さんに手紙を書くのは結構楽しかったです。
これからも、こんな自分でよければよろしくお願いします。
お店が混むと大変だよね。
お疲れ様です。
森田誠吾