小説

□世界で何番目に
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駄目なんだよ。こんなことでは。

頭ではわかっているつもりなのに、寿司を完食した途端床に押し倒されてキスをされ、体を弄るその手に逆らうことが全くできないでいる。

「んんっ、秀一…」
「充…充…っ」

さっきまで殺したいと思っていたその体を思い切り抱き寄せて、明日まではここにいてくれるよね、と健気に問いそうになる。
だって仕方ないんだ。好きなんだもの。

抱かれると、それまでの怒りが嘘のように溶けていき、それに代わって持て余すほどの愛が溢れる気がした。

「充、ほんとお前…かわいすぎんだよ」
「あ、…ん…」

むき出しになった乳首にキスをされ、秀一の手をぎゅっと握った。
悔しい。悔しいけど仕方ない。

「もっと…もっとしろ…」
「充…!」
「…はやく…抱いて…」
「んんっ」
「あ、っ」

ちゅるちゅると音を立てて乳首を吸われ、その頭を掻き抱いて、両脚を秀一の体に絡めた。

「ふ、充…ほんとお前…ゆっくりしてられねーんだけど」

それで余裕ぶって笑ったつもりか。
体の力が抜け、瞬間、立場が逆転する。

秀一の髪に指を滑らせて、腰を緩く押し付ける。

「だから、早くって言ってる」

一瞬息が止まるほどの力で抱きしめられ下着を剥ぎ取られながら、充は全身が幸福で満たされるのを感じた。

充はなんとなく知っている。
なぜか秀一は充の体に執着している。
男でも女でも、他に何百人抱いたとしても、秀一はここへ帰って来るという希望。
何日か帰って来ない時も、寂しさは募るけれどそれだけ会った時の行為が激しくなるのを知っていて、だから自分は秀一を待っていられるのかもしれない。

「つっこんでいい?」

止める間も無く、よく慣らしもしないそこへ熱くて固いものが押し当てられ、期待で腰が揺れた。
秀一の息が荒い。熱い息が首筋にかかり、そこを強めに吸われて胸が反る。

「あぁっ、…早く…」
「っ、は」
「んんっ!あ、ああ、やば…」
「あぁ、くっ…すげぇ…」

奥にたどり着くなりすぐに律動が始まる。

「ああ、ん、んっ、やだ、はげし、」
「やじゃねーだろ…な、嫌じゃねえよな、好きだろ、はぁ、ああっ、充…」
「すごい…すげ…秀一の…でかくてきもちい…」
「充っ…はぁ…はぁ…」
「んん、んっ」

パンパンと肌のぶつかる音を遠くに聞きながら、秀一の触れた場所に慣れ親しんだ安心を感じた。

「なあ、明日は、っん、どうすんの」
「いてほしい?」
「…どっちでもいい」
「いてって言ってくれたら、はぁっ、いる」

本当かどうかわからない。
嘘しか言わないんだから。

「どっちでもいい、って、あっ、はぁ、中出しして」
「…素直じゃない」

今こいつはどんな顔をしてるんだろうと思いながら、秀一の終わりの気配を感じてイきそうになる。

「あー、出そうっ、中で出すよ、充、っ、みつる、あ、出る、出るっ、あっ、あっ、」
「っ、んっ」
「あ…っ、……はぁ…は…」

いつも秀一が先にイって、ぐったりしながらフェラしてくれて、程なくイってしまう充の精液を秀一は飲み込む。
何かの儀式みたいに。

「秀一っ、でる、いくぅっ」

秀一の肩を押さえながらその口の中に出して、充は少しだけ寂しくなった。
これも、いつものことだ。



セックスした後も、秀一は優しい。表面だけは。
腕枕をしながら、にっこり微笑んで秀一は言う。

「ほんと綺麗だな。お前の肌、今まで抱いたどの女より綺麗だよ」
「はーお前まじで千回は死ね」

明日は不在で結構だ、と、秀一に枕を投げつけながら充は思った。




-end-
2016.11.23




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