小説

□森田と岡崎と素股
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「久しぶりの我が家」

言いながら、岡崎は部屋に入って電気をつけた。

岡崎の仕事が終わるのを待ち、深夜の、他に車のいない広い道路を少しだけドライブした。
いつも通る道なのに夜景が綺麗で新鮮だと笑う岡崎が楽しそうでこっちまで嬉しくなった。
コンビニで夜食を買い、それから岡崎が、「たまには俺んちで寝る?」と言ったので、遠慮しつつお邪魔した。

明日は俺が休みで、岡崎は仕事。
給料日後なので混むらしい。げんなりした顔で肉まんを食べながら、さっき助手席で言っていた。

一生懸命仕事をしている岡崎が好きだ。
愚痴さえ愛おしい。

「適当に座って。グラスとかいる?」
「いや、お構いなく」

コンビニの袋から水と炭酸水を出す。

「お構いなくとかうける」

岡崎が笑う。

手早くお湯を沸かし、カップラーメンを作ってテーブルに並べてくれる。
ふとベッドの上に目をやると、ポップな配色の布が視界に入った。

「あ、やべ、パンツ出しっぱだ」

俺の視線を辿ったらしい岡崎が、それを手に取った。慌てて目をそらす。

「前に買ったの。かわいくねー?」

広げて見せてくるのを腕で遮りつつラーメンに手を伸ばした。岡崎のカレーヌードルのフタも開けてやる。

2人でラーメンを食べた。
なんだかラーメンを食べることが多い。

食べ終わってから、並んで少しテレビを見た。タレントの言葉にくすっと笑った岡崎の気配が、なんとも言えず心地よかった。
岡崎がトイレに立ったので、その間に空の容器を片付ける。岡崎は割と真面目に分別をしている。どのゴミがどこのゴミ箱か、前に来た時に教えてもらった。

「見て」

背後から声が聞こえ、振り向くと、先程の下着だけを身につけた岡崎がキメ顔で立っていた。

「お、かざき……」
「呼び捨て新鮮」

ねえ、どう?と言いながら岡崎はジリジリと間を詰めてきた。俺の背中が壁にぶつかる。

「かわいくない?」
「…かわ、かわいい」

ああ。本当に。

「かわいい」

頷きながら、形良く微笑む唇に目が釘付けになる。

「キスしてもいいよ」

下から顔を覗き込むようにされて、どちらからともなくキスをした。
それは早急に、性的な意味を持っていく。
唾液が混じり合い、息が上がり、指に髪が絡まり、腰に腕が巻きつく。

岡崎の裸の上半身が熱を持っているようだった。

「岡崎さん…ほんとに…かわいい」
「パンツ?俺?」
「全部…」
「んふ」

ああ。好きだ。好きなんだ。
もっと。もっと俺を狂わせてほしい。

「ほら。後ろの柄もかわいい?」

岡崎は壁の方を向き、俺に下着が見えるような体勢で肩越しに振り向いた。

そのまま岡崎を壁に押しつけ、後ろからうなじにキスをする。

「ああっ」

身をよじる岡崎の肩口に舌を這わせた。

「森田さん、すげー、っん、かたい」

岡崎の後ろに俺のものが当たっていたようで、お互いに擦り付けるように動いた。

「っ、あ」
「ねえ、そのまま、ちんこ出して」

後ろ手にジッパーを下げられ、中から性器が引きずり出される。

「かわいいパンツで擦ってあげる」

ここにいれて、と言われ、俺は美しい恋人のふとももを割った。

「ああ、あつい、すげ」

岡崎は額を壁に擦った。

「待って、俺んち、森田さんちより壁薄いの」

場所を変えようと少し焦った様子の岡崎の唇を塞ぐ。舌を動かし、奥まで味わい尽くすように伸ばした。
水音に、甘えたような岡崎の声が混じる。

かわいい。愛している。
腰をぐいぐいと押しつけ、ふとももの間をこすり、かわいい下着を体液で汚す。
罪悪感と同時に興奮が高まる。

「あ、待って、ほんと、…やばいって…すげー気持ちいい、っん、い、ああっ」

もっと、もっとタマ擦って、と言われ、自分のものを手で支えて岡崎を押し上げた。

「んっ、んっ」

声を抑えているらしい岡崎の、首筋にほんの少しだけ歯を立てる。

「んあっ、あ、ね、食べて、俺のこと食べて、森田さんっ、かじって…」

痛くないように、傷つけないように気をつけながらかぷかぷと柔らかな肌を噛む。
下半身を擦る腰も高まっていく。

「あんっ、はぁっ」
「岡崎さん、…すご、気持ちいいっ…」
「いいよ、俺も、すげー、素股だけでイきそ…」

壁に手をついて耳や頬を紅く染めている岡崎を、すっぽり覆うように後ろから抱きしめる。

「森田さん…やらしすぎ」

指先に乳首が触れて、そこをくにくにといじると、岡崎の体がびく、びく、と跳ねた。

「あっ…」

もっとして、と言う声を、岡崎はできる限りおさえているのだろう。その言い方が余計に俺を煽った。
胸に指を這わせながら、下着の上から岡崎の勃起したものを撫でる。

「んんっ!」

頭が揺れ、ピアスがのぞく。
かわいい下着を、俺が、汚してしまっている。
わかっているのに、岡崎のものを触る手と腰が止まらない。

「岡崎さん…ごめん…」
「やべ、ほんと、っ、イく…森田さん…っん」

自分もラストスパートをかけながら、目は岡崎の表情に釘付けになった。
どうしてこんなに綺麗な人が、自分の腕の中にいるのだろう。
何百回も思ったことをまた、思う。

「イく、イくっああ、あっ」
「っ、俺も…」
「もりた、さん」

あ、と吐息交じりの声を上げ、岡崎の体が大きく揺れる。ふとももがぎゅっと締まり、挟まれた俺のものからも精液がふき出した。岡崎の下着や体を汚し、濡らして行くのがわかる。

弛緩してしゃがみこみそうになった岡崎の体を支えてベッドまで運んだ。

「ごめん、岡崎さん、大丈夫?…あの、せっかくのパンツが、汚れて…」
「はぁ…ふふ、せっかくのパンツ」

森田さんにかけられたりしてせっかくのパンツも本望だよね、と言って笑い、岡崎は目を閉じた。

汚れてしまったところをティッシュでぬぐい、風邪を引いては困るので何か着るものを、と思い立ち上がろうとすると、岡崎が下から抱きついてきた。

「このまま寝よ?布団かければ大丈夫」

可愛さに負けて言われた通りにする。
満足そうな顔で俺の腕に頭を乗せる岡崎を、自分の体と布団でくるむようにした。

何が楽しいのか、むふふふ、と笑いながら岡崎は顔を俺の胸に埋めた。

起きたら何か朝ごはんを買いに出よう。卵とパンを買ってきてオムレツトーストにするのもいい。
充分すぎるほど満たされた気持ちで、電気を消すのも忘れて、眠ってしまった。




-end-
2017.10.12



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