小説

□おとなと子ども
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「俺の、どこが、子どもだって」

そう首をかしげる歩は、艶のある若い肌を露出し、腰にタオルを巻いている。風呂上がりのいい香りがした。
こちらは彼がシャワーを浴び終わるまで拘束されたまま放置されていたのだ。うとうとしかけたところに、そんな姿の歩が現れた。

「機嫌直せよ……そういう意味で言ったんじゃねえよ」
「煙草が吸いたいだろうな、仕事片付けて、あとは寝るだけなんだから、一本吸いたかっただろうな、でも吸わせてやらねえよアホが」
「お前、今日ちょっと口悪すぎだぞ」
「うるせえよ。親気取りか?」

ゆっくりと近づき、ソファに座らされたままの俺の膝の上に、歩は脚を開いて跨った。目の前に、ほぼ全裸の恋人の体があり、少し目のやり場に困る。

「おい、見ろよ、子どもの裸なんかどうでもねえだろうが」

挑発するように睨みつける歩の目は怒りで据わっていた。

「悪かったよ。俺の言い方が悪かった。もう許せよ」
「嫌だね。ふざけんなよ」

そう言いながら、歩は下着をつけていない股を俺の股間に擦り付けた。途端に反応しそうになって拘束された手を軽く握った。
そうか。本当にこれから犯されるのだ。そう思うとますます歩の体を見られなくなった。

「見ろっつってんだろうが」

視線を追って、胸を反らすようにして見せつけてくる。

「舐めろ」

掠れた声と同時に、歩は乳首を俺の唇に押し当てた。舌をちろりと出すと、ふにっとした感触があり、何度かそれを繰り返すとそこが少しずつ固くなってくるのがわかる。
俺の動揺や遠慮が薄れるのが思ったより早かったのか、歩は少し焦ったような顔をした。

「んんっ……あっ……」

自分で言い出したくせに、先に勃起したのが恥ずかしいのか、歩は小さく喘ぎながら少しずつ腰を引きだした。巻かれたタオルの股間の部分が持ち上がっている。

「子どもはそんな反応しねえだろ……ちゃんとわかってるから、もっとこっち来て……くっつけよ」
「う、るせえ、わかってんだよ」

遠慮がちに腰を振り、歩はだんだん息を荒くしていく。

「や、あんっ……」

勝手に喘ぎながらこちらには全く触れて来ない。生殺しだ。
その時、巻いていたタオルがはらりと落ち、先端が赤く腫れた歩のペニスが露わになった。

「なあ……俺には何もさせてくれないのか」
「させねえよ、子どもに、興奮すんのか、お前は」
「子どもには興奮しない。でも歩にはするよ、知ってるだろ」
「っ、ん」

俺の声に感じ入ったような声をあげ、歩は俺の上半身に抱きついてきた。かわいい。触れたい。
ローションを手に取り、歩は自分をほぐし始める。くちゅ、と音がするたびに、歩は眉をひそめて息を吐いた。

「それ、俺にはさせてくれないのか」
「無理」
「どうして? 俺がした方が気持ちいいだろ」
「……うるさい」

口調が少し落ち着いてきたのでもう一押しだと思った。



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