小説

□ほやほや
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同棲し始めてから約2週間が過ぎた。
並木は毎日とても元気だ。もともと明るく朗らかな性格だが、さらに拍車がかかっている気がする。

思っていたより平和な日々が過ぎていく。そう。平和すぎるくらいだ。並木の強い希望で寝室が同じでさらにダブルベッドで寝ているというのに、なんと、まだ1回も、していない。
それがどうしてなのかを聞くのもなんだと思って確かめていない。正直、仕事に慣れるので精一杯で、こちらもそれどころではなかったというのが本音でもあった。

忙しいのはお互い様なのに、朝飯を作ってもらえるのは本当にありがたい。
働き始めて三日目の朝にそれを言ったら、並木は「6枚で98円の食パンとハムと卵焼いてるだけだよ」と言った。きょとんとすらしていた。本当はもっと野菜とかちゃんとしたいけど、とも言った。
そのうち何か、自分に出来ることで返そうと思う。

並木と向かい合って食べる朝食は、内容にかからわず美味い気がした。

「お昼、相内は今日も社食?」
「多分」
「そのうち弁当作ってあげたいな。愛妻弁当」
「妻なのか」
「夫でも妻でもいいんだけど」
「並木は賄いが出るんだから、俺の弁当作るのなんか面倒だろ」
「相内くん。それが愛というものだよ」

そんなこともわからないのかい、と言って並木はふにゃふにゃ笑う。

バタバタと準備をして出かける時、行ってきます&行ってらっしゃいのキスをするというのも並木の発案で、幾分ぴしっとしていた並木の顔がその時少し柔らかくなる。自分も今、表情筋が緩んでいるだろうかと思いながら、家を出る。

その日は金曜で、自分の部署の人達に歓迎会をしてもらい、少し遅くなって帰ると、並木は既に帰宅してベッドに入っていた。

「おかえり」
「ただいま」
「楽しかった?」
「うん。まあ」

よかったねぇ、と平和で眠そうな声が聞こえる。
俺はスーツを脱ぎもせず、そのままベッドに上がって並木の上にのしかかった。

「相内?」
「並木、いいだろ」
「え、あ? どうしたの相内、あ、あっ、こら、いやいやいいんだけど全然いいし嬉しいけど」

何かあったの、と聞かれても、よくわからない。ただ並木に抱かれたいと思っただけだった。

キスをしながらネクタイを解いていると、並木の手が伸びてきてそれを手伝った。そのことに妙に安心している自分がいる。
したくないわけでは、なかったらしい。

並木の余裕のない顔が見たい。上半身を脱いだところで、並木の履いているハーフパンツを下ろした。ボクサーパンツにくっきりと浮かんだ、勃起した形のペニス。これを見てこんなに嬉しいと思う日が来るとは思わなかった。

下着の上から撫でて、舌でかたどるようになぞる。

「相内、っ」

ひくひく動く腰を撫でながら、パンツから出したペニスに手を添えて舐めあげた。二人で買いに行ったボディソープの匂いが微かに香る。
あ、とか、う、とか声を上げながら、並木は抵抗もせず素直にされるがままになっている。亀頭を唇で挟んで、舌先で先端をぐりぐりすると、並木が一際大きく息を吐いた。

「ああ……嘘でしょ……やばいよ相内……めちゃくちゃ気持ちいい……」

その声を聞き、並木の上気した顔を見て、俺の体は静かに喜びと興奮に包まれた。息が上がる。

「待って、なんか久しぶりだから……ほんとにやばい」



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