小説

□ほやほや
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かわいい。愛おしい。焦る並木のものを口内で締めつけて、唾液を絡めて音を立てる。しばらくフェラを続けていると、並木が上半身を起こして俺の髪をそっと撫でた。

「相内……ごめんっ、挿れていい? 我慢、できなくなってきた」
「断る理由はない」

ものすごい力で抱き返され、ベッドに組み伏せられながら、触られてもいない後ろが疼いて鳥肌が立った。
抱くなと言った覚えはない。その気がないならそれでいいし、セックスがなくても特に問題はないと思っていた。でも、求められれば嬉しいし、理由も分からず求められなくなることへの不安も少し理解した。

こんなに近くても考えていることがわからない。話さなければならない。いろんなことを。話し合っていかなければ。

剥ぎ取られるスラックスと下着を横目に見ながら、息荒くキスしようとする並木の頭を抱き寄せて、自分から舌を入れる。

「んんっ」
「あいうち……」
「早く……」
「っ、待ってよほんとに勘弁してなんなの可愛すぎだろ殺す気かよ」

ゴムを探そうとする並木を制して、バックの体勢で誘う。並木は一瞬迷ってから、後ろから抱きついて、そのままゆっくり挿入した。

「は、っ」
「すげ……気持ちいい」

すぐイったらごめんねと言いながら、並木はゆっくり腰を前後に揺すり始める。快感が下腹部に溜まりだして、全身から噴き出しそうだった。

「並木、中で出して」
「え、でも」
「いいから……明日俺休みだし……」
「うん……」
「下の口に、飲ませて……いっぱい、出して」
「やべ、イく、ほんと」

俺の腰を掴み直して、並木はめちゃくちゃに腰をぶつけてきた。

「あっ、ん、ん、っ」
「はー待ってほんとごめんめちゃくちゃ出るよ、すげえ、溜まってるから……相内……大好き」
「んんっ」
「ごめん……しばらく我慢する予定だったのに……ほんと、俺、ごめんね相内……好き……好き……相内……」
「ああっ」

甘えるようにうなじに唇を押し付け、抱きついてくる並木を、ここ数日の俺は心から求めていたのだと思った。

「あーイく、まじで、っ出るよ、中でいっぱい、」
「出して……っあ、んんっ」
「出るっ……!」

ぐっと奥まで並木の性器が押し込まれ、痙攣したその先端から熱いものが注入されていく。

「っ、あ、んんっ、はぁっ」
「……相内も、出てる……」

一緒にイったと気づいてから、猛烈な眠気に襲われて、俺は意識を手放した。



真夜中に目を覚ますと、素っ裸の俺の体は同じく素っ裸の並木の腕の中にすっぽり包まれていた。体の大きさはさほど変わらないのに、不思議だ。少し汗をかいている。喉もかわいた。少し腹が痛い。

もぞもぞと体を動かすと、並木も目を覚ました。

「相内ごめんね……出せるだけ掻き出したけど、お腹大丈夫?」
「うん。トイレ行ってシャワー浴びて来る」
「ごめん……」

消え入りそうな声で言う並木に、確かめておきたいことがあった。

「社会人になって、いろいろ気を遣ってくれてたのか」
「うん」
「我慢してた?」
「めちゃくちゃした」
「抱きたかった?」
「死ぬほど」

思わずふふと笑って、並木の頭を撫でる。

「ありがとう」
「でも結局……」
「次の日が休みの時は割とできるから。多分。あと、ちゃんと話し合おう。無理なことは無理って言うから」
「だね……」

知りたかったことが知れたので満足して立ち上がり、眼鏡を手にバスルームに向かいかけたところで、並木が「相内」と呼んだ。

「何」
「好きだ」

俺もだよ、と返事をすると、並木がまた、ふにゃふにゃと笑った。




-end-
2019.9.15



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