小説
□さて、どうでしょう
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「熱い…相内の…口ん中…」
上からだと相内のまつげがはっきり見えて、俺はごく自然に手を伸ばして頭を撫でた。
その瞬間、重大なミスに気付く。
「つか俺シャワー浴びてないんだけど!ごめん汚ねぇよ!」
腰を引いて抜こうとすると、相内が腰に手を回してきて身動きが取れなくなった。すぐ後ろはソファで、これ以上下がることもままならず、しかもくわえられたそこからじゅぷ、と音がして、俺は息を詰めた。
「っ……なぁ…汚ねぇから…相内…」
やめてほしいと思う気持ちと、やめない相内に対するなんとも言えない高揚感に、俺はまた相内の頭を撫でた。
すると相内は一度口を放した。
「シャワー終わるまで待てない」
一言呟いて俺のものの先っぽにキスをした。眼鏡の中の瞼が伏せられる。
信じられない。信じられないくらいかわいい。
少し先走り出たかも。
「お前こないだから何なの、冷静理系キャラどうしたんだよ」
「…知らない」
ポーカーフェイスを突き崩したくて、俺は相内の上に覆い被さってキスをし、舌を突っ込みながら服を脱がしにかかった。俺の腕がテーブルの脚に当たって派手な音をたてた。
「並木…お前の…せいだ…」
「なにが」
「…こないだあんなことするから…」
「合意の上だったろ。積極的だったくせに…今日だって」
キスの合間に押し問答をしながら互いの服を剥ぎ取る。
「俺も…全然忘れられなかった…並木にされたこと」
相内の声に、俺はキスをやめてその目を見る。
「責任とって抱けよ」
その言い方は、投げやりでも同情でも冗談でもなくて。
相内らしい誠実さが伝わってきて温かくなる。
「……相内ってツンデレ?」
「違う。俺はデレない」
「ぶっ、何そのプライド」
「事実だ」
「さっきのあれは?シャワー待てないって、あれはデレじゃねぇの」
からかうような口調で言うと首を引き寄せられて深くゆっくり口付けられた。それから相内は言う。
「デレじゃない。ただの事実だ」
*
乳首へのしつこいくらいの愛撫に相内が先走りを溢れさせる。
勢いにまかせて下着に手をかけたところで、相内のストップがかかった。
「やり方わかるのか」
俺はギクリとして一度手を引っ込めた。
「…わ、わかるよ」
「本当に?俺痛いのとか流血とかなるべく避けたいんだけど」
「それは大丈夫!俺調べたし!…一応、や、り方っていうか。…気持ちいいかはわかんないけど…」
目をまるくする相内のものを手で包んで緩く上下に動かすと、更に先走りがこぼれ出した。
それを絡めて指を後ろへ持って行くと、待て、それじゃダメかも、俺のバッグ取って、と中断させられた。
「これ」
なんと相内はローションを持参していた。
「はは…準備よすぎじゃね」
「調べたから」
「え?」
「俺も。男同士の方法」
今度は俺が目をまるくする。その直後、2人してふっと笑った。
「お互い今日ヤる気満々だったんじゃん」
「並木にそういう趣味があったとは」
「いやいやお前こそ!まじびびるわ」
俺は少し緊張しながら手にローションをとぷとぷと落とした。
「ゆっくり、とりあえず一本だけ、」
「わかったってば。乱暴にはしねーよ」
俺は手を相内の後ろへ回し、指先で割れ目を撫であげた。
「っ、あ…」
相内の抑えても漏れ出てしまったみたいな声は完全に濡れていて、俺は股間が苦しくなってしまった。
入り口の周りをくちゅくちゅと濡らして緊張をほぐすように撫でてやると、相内が俺の腕を軽く掴んできた。
「怖い?」
「少し」
相内は眉根を寄せて、それでも少し期待してるみたいに腰を震わせた。
俺は空いた手で相内のものの先端を優しく擦った。
「んっ、……ん…」
「相内、絶対痛くしねえから。…指、いれるよ」
目を閉じた相内のそこへ、ゆっくり中指を埋める。
「い、…」
「痛い?」
「いや…大丈夫…」
「ちょっと動かすよ」
半分入れたところで第一関節をゆっくり曲げる。
「う、…ぁ……」
「…相内ん中、あったかい」
これは、俺のが挿れられるようになるまで途方もない時間がかかりそうだ。
「相内」
俺は手を止めずに体を倒して、相内の胸にぴと、と額をつけた。じんわりとあつい。
「…ん、何」
「早く挿れたい」
「今挿れられたら死ぬ」
「うん…」
相内が俺を抱きしめて、剥き出しの肌が密着する。
「並木、付き合う女の子にかわいいって言われないか?」
「はー?」
「なんか犬っぽい」
「えー」
「あんっ、ばか、指が」
体を起こそうとしたら手に力が入って、中の指が根元まで進んでしまった。
「ごめん。…俺、相内の声好き。興奮する」
「そうかよ…んっあ、あっ…」
ものを擦る手を少しずつ速めて、中に埋めた指の動きも少しずつ大きくした。
ああ。時間かかるけど。若干股間痛いけど。
早く挿れたい。相内に。
*
「ぅあぁっ、…っは、ふ、」
「すげぇ、本当に4本目入った」
「苦し、あ、待て、並木、」
相内は、声を抑えて快感を逃がそうと必死だ。時々揺れる腰がエロい。