小説2
□みんな大好き木野せんせー!
2ページ/4ページ
が、俺はその顔を見ながらなんだかイライラした。
こいつは馬鹿に違いない。何をされるか本当にわかっているのだろうか。
木野なら抱けると言うやつは、同じクラスにも他のクラスにも何人もいる。童顔なのに、たまに表情に色気が混ざると荒木は言っている。そんな目で男の担任を見る気持ちが俺には全くわからなかった。
でも今組み敷いている木野は、女のように柔らかそうな髪をして、なんだか深くいい匂いがする気がした。
その空気は確かにどこか淫らだった。
*
「どうすんの?キスとかもするの?」
俺を押し倒したまま固まった青戸に下から声をかけたら、彼は眉間に皺を寄せた。
怒らせるようなこと言ったかな。
しばらく見つめ合っていたら、青戸の手がいきなり俺の股間に伸びて、ものをふにっと押された。
「うわっ、え、いきなりそんなとこ」
青戸は何も言わずふにふにと触り続ける。
前戯も何もなしにただ揉まれてもその気にはなれないんじゃないかと思った。
なんだ、なんなんだこの時間は。
しばらくそれが続いて、なぜか薄く笑った青戸の手に力が入り、痛みが走る。
「いっ…」
多少は我慢しようと思っていたけど、勃起していないそこをぐりぐりされて、つい顔を歪めてしまった。
青戸は本当にこんなことをしたかったんだろうか。悩みはもっと別のことなんじゃ…。
不安になりつつ俺は青戸の股間に手を伸ばした。
「あれ」
青戸のそこは硬くなってきている。本人も触られて初めてそのことに気づいたような顔をして、その表情がどんどん不機嫌そうに歪む。
えー…なんで怒ってるの…
すると青戸が顔を近づけて俺の耳にふーっと息を吹き掛けた。
「あっん………」
やばい、声出た。
一瞬止まった青戸の動きは、再開された時には少し乱暴になっていた。
「んん……」
今度は耳たぶをぺろっと舐められて俺は身をよじる。
耳がいいんじゃない。
耳も、だ。
男なのに敏感なこの体質を、俺は少し持て余していた。
途端に股間に血が集まり出す。感じるところを少しでも責められればもうあとは昂るだけだ。
青戸は俺のズボンの中に手を入れて、確かめるように俺のものに触れた。
「ああっ、青戸、」
「先生も勃ってんじゃん」
青戸はなんだか複雑な表情で俺を見下ろした。
*
自分の勃起に気付かなかった。というかまさか勃っているとは思わなかった。
触り始めてしばらくしても、木野のぺニスはふにゃふにゃしたままだった。
ほらな。やっぱり男同士なんて無理なんだ。もうやめよう、冗談だと言ってさっさと帰ろう。時間の無駄だ。
生徒にされるままになる木野が馬鹿馬鹿しく見え、最後のつもりでぐいっと揉んでやった。
木野は痛みを堪えるような顔をした。
その顔が、悪かった。
ほんの少しの間、その顔を見ながら無心で手を動かしていたら、木野が俺のものに触れた。その途端、腰に痺れが走った。
勃起してる。木野で。最悪だ。
腹が立ったことが顔に出たらしく、木野は少し不安そうな顔をした。
木野は普段、生徒相手にそんな顔はしない。アホみたいに楽観主義で明るい。
なんなんだよ、今日の木野は。ムカつく。
しかも、耳に息を吹き掛けたら、木野は小さく高い喘ぎ声を上げた。
木野の反応を見るという罰ゲーム。反応っていつの反応だ。セックスしようと言った時?押し倒した時?それとももっと先まで…
一瞬でいろんなことを考えて、結論が出る前に体が動く。耳を舐めたらまた甘い声を出した木野に、どうしようもなく欲情した。
それでも理性が働く。木野の勃起したものに触れて、責めるような口調で俺は言う。