小説2

□佐々木くんの日記
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○月○日
放課後、女子に誘われて教室で何人かと話していたら、東藤くんが特別教室の掃除から戻って来て、女子が誘ったら真っ赤な顔で雑談に参加した。

普段は東藤くんは松谷(まつたに)くんとかと仲良くて結構元気にしているのに、大人しくなって、もしかしたらあの中に気になる女子がいるのかもしれない。

それより、東藤くんと仲のいい松谷くんは少しオカマっぽいと思う。
口調とか。
でもいじめられるような感じじゃなくて、なんかさばけててオカマバーの人ってあんな感じのイメージ。
いろんな人がいる。

帰り、女子と別れて校門まで東藤くんと一緒だったけど、僕がなんか言っても全然反応してくれなくて、もしかして僕のことが苦手なのかもしれないと思った。
誰にでも苦手なタイプがいるから、まあ仕方がない。

でもじゃあねと言ったらちゃんと目を見てバイバイと手を振ってくれた。
真っ赤だった。
かわいそうなことをした。

あと、やっぱり手芸部に入りたいので、とりあえず見学に行くことにした。
斉木はすごく驚いていた。
でもいい。
やっぱりやりたいことをやらなきゃ人生損だ。





○月○日
手芸部は3年生が5人しかいなかった。
やっぱりみんな女子。

先輩たちは僕が見学に行ったらすごくびっくりしたらしくて、家庭科室がシーンとしてしまって気まずかった。

でも僕が手芸が好きなことを熱く語ったら受け入れてくれた。
大人しそうな先輩たちはみんな優しくて、僕に作ったものを見せてくれた。
見ているだけでわくわくした。

パッチワークが得意な先輩がいて、作品を見せてくれた。
すごく上手で感動した。
入部したら教えてくれるか聞いたら、うんと言ってくれたので、その場で入部届けを書いた。





○月○日
松谷くんと東藤くんが部活を何にしようか迷っているような話をしていたので、会話に交ざった。

松谷くんは家が華道をやっているらしくて、学校で部活はやらないと言っていた。
僕は、それで彼の所作がなんとなく女子っぽいのかと納得してしまった。

松谷くんは、
「それでこいつオカマっぽいのかと思ったでしょ!」
と言った。

図星すぎて反応できなかった。
でも恋愛対象は女子らしい。

東藤くんは笑っていた。
でも今日ももじもじしていたし真っ赤だった。
松谷くんと2人で話してる時は赤くないから、多分松谷くんならリラックスしていられるのだろう。

松谷くんに聞かれて僕が手芸部に入ったことを話したら、2人とも目がまんまるになった。

松谷くんが東藤くんに、
「あんたも手芸部に入んなさいよ」
と言ったら、東藤くんは、
「なんで俺まで」
と言いながらまた真っ赤になった。

それはそうだろう。
多分苦手な僕と同じ部活なんて嫌だと思う。
手芸が好きなら話は別だけど。

手芸部にも男子がもう1人いればいいのにと思う。





○月○日
みんながなぜか僕が手芸部に入ったことを知っていた。
みんな意外だ意外だと言うが手芸はどんなイメージなんだろう。

でも僕が堂々と認めたらみんな受け入れてくれた。
堂々としていることはすごく大事だ。

でも、女子に
「佐々木くんは爽やか系なのにちょっと変わってる」
と言われた。

明日から手芸部の活動が始まる!楽しみだ!






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