小説2

□22 なつめと先生
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「あー疲れた。疲れすぎてキレそう」

創樹くんが言う。

今日はテストがあって、僕たちはそのまま創樹くんの家に来た。

「大丈夫?寝る?」
「膝枕しろ」
「いいよ」
「はー……ちょっと待て。順番間違った」
「うん?」
「着替えてから」
「えっ、と、何に?」
「久々にセーラーにするか」
「あっ、はい」
「下着はかわいい系」
「かわいい系ね……って、僕が選ぶの?」
「なつめ用のチェストに入ってるから」
「…かわいい系かわいい系……」

僕は立ち上がる。

たくさんの服が並ぶクローゼットの一角に、明らかに様子のおかしいチェストがある。
どこからどう見ても女の子が好みそうなデザインで、男っぽくシンプルな創樹くんの部屋には明らかに不釣り合いな家具。

その中身は外見通り、女性用の服や下着だ。
創樹くんが僕の女装用衣類を買いすぎて溢れたため、わざわざチェストまで買ったらしい。

もう僕は、いろんなことを諦めなければならないんだろうか……!

「セーラーでしたよね」
「そうだな」
「なんか、3着くらいあるんですけど」
「今日は上が白の夏服のやつで」
「あっはい」
「なんで敬語なんだよ。まあ下僕だからしょうがないか」
「そうですね」

チェストを漁ると、古着屋で買ったらしい綺麗な色のワンピとかワンピとかワンピとか……
って!

「創樹くん!ワンピ好きなの!」
「いや、メイド服が一番エロいけど」
「だってワンピが!ワンピばっかり!」
「なんか買っちゃった。勢いで」
「なんの勢いなの……」
「だって。テストの勉強疲れたから」

創樹くんはベッドに横になって眠そうに言った。

「だから早く着替えろ」
「うん」

女装なんてってためらう気持ちは、創樹くんのかわいさの前では無に等しい。

指定されたセーラーと靴下、リボンのついたピンクのパンツを出して着替えに行こうとしたら創樹くんが眠そうな声で唸った。

「ここで着替えろ」
「え」
「着替え見たいから」
「……えっ」
「早く。折るぞ」

何を……!

「ブラもつけろよ」
「ブラも……」

シャツを脱いで裸になった上半身にブラをつけようとしてふと創樹くんを見たら、こっちをガン見してた。

「ちょ、そんな……見ないでよ」
「なんで?」
「恥ずかしい、なんか」

創樹くんはそれを聞いて、ニヤアと笑った。

「ほう。恥ずかしいのか」
「だ、だって」
「お前の性癖の方が100倍恥ずかしいっつの。早くつけろって」

仕方がないのでちょっと体を背けながら手早くピンクのブラをつけた。

「慣れてんな。なんでだろうな」

創樹くんは相変わらず横になったままニヤニヤしている。

ズボンを脱いで下着に手をかけながら、堪らなく恥ずかしくなった。

「創樹くん、恥ずかしいよ」
「……かわいいなお前」
「え?」

僕は耳を疑った。
創樹くんが僕をかわいいなんて!
う、うれしい……。

ささっとパンツを履き替えて創樹くんを見たら、目を閉じていた。

「寝ちゃったの?」

呆然としながらも、女性用の下着だけの自分が恥ずかしくてとりあえずセーラーを着て、創樹くんに近づく。

くうくうと寝息をたてている。

「さっきのは半分寝ぼけてたのか」

前髪をさわさわと撫でる。
かわいいのは創樹くんの方なのにね。
本当に疲れてたんだな。
愛おしい。

「ってこんな格好でシリアス思考ってなんなの僕は」

自分に苦笑いしながら立ち上がって、もう一度創樹くんを見下ろす。

ベッドに無防備な姿で横たわるかわいい人。
女装してる僕。

いやいや、だめだよ。

だめだって。

少しだけ……

屈んで首筋にキスをする。
創樹くんのにおい。

だめだ!
ひどいことされたい!

「どうしよう……」

勃っちゃったよ。ああ。もう僕は戻れない!戻れないんだよ!普通には!

とりあえず落ち着こうと思って創樹くんの横に少し離れて横たわる。着替えようかとも思ったけれど、起きた後に気づいた創樹くんが僕の何かを折ったら困りそうなので、とりあえずそのままで。

「……創樹くーん」

小さな声で呼んでみるけど、全然起きる気配がない。

投げ出されたその手を取って、自分のスカートの中にそっと入れる。

ああっ!どうしよう!すごくいけないことをしている感が!

太ももに手を挟んでみた。小さな下着にピタッと押し込められているそれに、創樹くんの手が触れている。
寝てるのに勝手にこんな、こと……

「はぁ……」

起きちゃったらどうしよう。きっとすっごく怒られる。
『てめえ何勝手に人の手使ってオナってんだよ、キモいんだよ死ね変態』とか言ってもらえないかな。

「ああっ」

興奮する!恥ずかしい!
こんな、こんなの最低じゃないか!
創樹くんごめんね!

恥ずかしくて興奮して僕の性欲は1人暴走していく。

下着の中からガチガチのものをそっと取り出して、創樹くんの手に触れさせ、自分の手を重ねてそっと握り込む。
するとさすがに違和感があったのか、創樹くんがひくりと動いた。

「危ないよ、起きちゃうよ」

それにすら興奮する。


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