小説2

□ラブレター
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好きだ好きだって、いつもお前は言う。

ずっと、とか、一生、とか、そういう言葉をすぐに使う。

俺はそんな不確かなこと、とてもじゃないけど怖くて口にできないのに。

だから俺はお前に文句を言った。

一生なんて、わからないくせに。よく軽々しく、そういうことを言えるな、と。

そしたらお前は笑った。

相内のこと一生愛すから、ずっと一緒にいようね。

と言って。

だからそれが無責任だっていうんだ、と言おうとした俺に、お前は言った。

今のは、「相内のこと一生愛すから、ずっと一緒にいようね。って今、全力で心から思ってるよ」の略だよ。

と。

もしかしたら明日、俺が風呂場で滑って転んで死んで、そしたら相内の一生は俺と一緒じゃなくなっちゃうけど。でも今、相内のことこんだけ好きで好きで仕方なくて、一生を君に捧げますよって思うから。相内には、自分をそんだけ目一杯愛してる人がいるって、知ってほしくて言ってるんだよ。

と。



並木。
俺は、ずっと、や、一生、に、そんな隠れた意味があるなんて考えたことも無かったよ。

女の子と付き合ってた時だって、ずっと一緒にいてくれるかって聞く相手に、わからないって答えて泣かれたこともあった。

お前の頭はどうなってるんだ。
どうしてそんなことを思い付くんだ。

でも、安心した。
言葉の意味に囚われないで、今のお前の気持ちを信じればいいだけなんだと思ったら、それなら、俺にもできそうだから。

お前の言葉を受け止めるのは、意外と簡単なんだな。



ありがとう。
並木。
好きだよ。
ずっと。



2013.8.21  相内


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