企画小説
□姫野のおねんね2
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「先輩。姫野先輩」
誰かに呼ばれて目を開けると、目の前にいたのは、優しげに笑う市井達希だった。
「ん……?」
「姫野先輩、俺のこと待ってたら寝ちゃったんだね。かわいい」
市井は俺の頭を撫でる。
どういうこと?
俺たちがいるのは学校の教室で、机に突っ伏して居眠りをしていた俺と、前の席のイスに後ろ向きでまたがってニコニコしている市井。
市井を待っていた?
俺が?
「トイレ掃除とか、まじダルかった。けど姫野先輩が待ってるって思ってがんばったよ。偉い?」
市井は少し吊り気味の瞳で真っ直ぐ俺を見る。
「……お疲れさま」
俺は手を伸ばして市井の銀髪を撫でた。
なんで?なに、これ。
「んふ。もっと撫でて」
市井は甘く笑って乗り出してくる。
「……本城は?」
聞くと、その笑顔が盛大に曇った。
「知らないよ。先輩の元カレなんか、興味ない」
元カレ?
俺が衝撃を受けていたら、市井はまた笑顔に戻り、一度立ち上がってから俺の机に座る。
顔の目の前に、市井のお腹、膝。少し上に、俺を見下ろす猫みたいな目。
「先輩。ここも撫でて」
ゆっくり手を誘導されたのは、市井の下半身。動揺して肩がビクついた。
「姫野先輩のせいで勃ったぁ。どうしよっかな」
少し甘えたような声で言いながら、市井は躊躇なくベルトを外し、ファスナーを下ろして、それを露出させる。
「舐めて……先輩」
俺はなにをしてるんだろう。
本城は?元カレって?今はこいつと付き合ってるってこと?
たくさんの疑問が頭を駆け巡るのに、なぜか体はその言葉に従おうとしている。
まるで催眠術にかかったみたいに。
俺はそこに顔を近付け、舌を少し出して先端にくっつけた。
微かに動かして割れ目のところをクリクリすると、上から吐息が聞こえた。
そのまま目だけで市井の顔を見る。
「やっばい。エロい」
市井はまた、甘く笑う。
「姫野先輩、口小さいね。俺の、入んない」
ムキになってくわえようと口を大きく開けると、待っていたかのように奥まで突っ込まれた。
「うぐ」
「…は……大丈夫?先輩」
そのまま腰を振られるかと思って身構えたら、市井は腰を引いて抜いた。
「ヤバい。まじかわいい。……触っていい?」
耳をなぞられながら囁かれ、その優しそうな笑顔にぼうっとしていたら、市井は体を屈めてキスをしてきた。
「んっふ……ん……」
「あー……かわいい…好きだよ先輩」
絡まる舌から市井の熱さが伝わった。
こいつ、体温とかあるんだ。
当たり前のことなのになぜか少し感動した。
「ヤバいほんと。脱がすね、下」
市井は俺を立たせて机に手をつかせ、後ろから抱き込むようにして俺のズボンを下ろした。
「俺はね、後ろからが好き」
「…後ろ?」
「そう。先輩の喘ぐ横顔見ながら耳舐めるのが好き。腰振りながらね」
「な、なに言ってんの」
「先輩は、耳元で囁かれるのが好き?」
囁きながら耳に鼻を擦り付けてくる。
手は俺のお尻をもみもみして、時折指先が際どいところをなぞる。
市井の匂いがした。
あの、香水の匂い。
「どうされたい?」
市井の問いかけに、答えなくていいのに俺は口を開く。
「……もっと、奥、触って…」
市井はポケットを探ってローションを取り出す。
「なんで、持ってるの…」
「え?いつでも先輩とえっちできるように……いつも持ってるよ?先輩も知ってるじゃん」
「知らな、い、んっ」
「…早く挿れたい。姫野先輩」
その言葉が本城とかぶって、一瞬ドキっとした。
縁を撫でていた指が中に押し入る。
「あぅぅ…っ」
「はぁっ……かわい」
「あっいや!」
「拡がれ拡がれ。俺のが入りますようにー」
「耳、だめ…」
耳たぶにキスをしながら市井は中の指をくちゅくちゅと動かす。