小説3
□ほんろう
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「中に出していい?」
「だめ、だめ!あっ、もっとして」
「早くしねえと。誰か来るよ」
「だって……」
「困るのお前だぞ。委員長」
「う、うあ、あ、あっあっあっあっあっ」
少し甘い気持ちを抱きながら、腰を強く掴んで打ち付ける。
「な、かむら、あ、だめ、だめ、だめ!」
「は、イきそ」
「だめ…!いや…だ、あ、あぁ、い、ああ!」
机に矢崎を押し付けたまま、その足の間に手を入れてぬるぬると濡れたものを扱いてやる。
「中村…あ、や、出る、だめ、ああっ」
「出して。教室の床に」
「っい!いや、そんな、床、に、ああ、あ、出ちゃう、やあぁ!」
「っ、う…あ……」
「あっ中村の…精子……出て…あぁ……う…」
ぐったりと床に膝をついた矢崎を横目に、素早く身支度を整える。
「早く帰れよ、委員長」
言い捨てて教室を出ようとすると、矢崎に呼ばれて振り向く。
「中村、お前……お前は?」
「……なに」
「おっ、俺の……何が……」
恥ずかしがるのに大胆になったり、優等生の委員長という看板を背負っているくせに性欲に弱かったり、真面目なくせに際どいセックスをしたがったり、素直じゃないと思わせておいて素直だったり。
挙げればいくらでもあるけど。
俺は矢崎の前に片膝をつき、顔を限界まで近づけた。間近に、ほんのり赤く染まった矢崎の顔。
「エロいとこ」
「ば、バカか!」
ほら。嬉しいくせに、真面目ぶる。そういうとこも。
「大好きな顔した俺の遺伝子、たくさんもらえてうれしいだろ?」
「遺伝子…」
とぼけた顔の委員長は、床にぺたりと座ったまま立ち上がった俺を見上げている。
「またいくらでも中出ししてやるから」
今度こそ教室を出ようとした俺の背中に、矢崎が何かをぶつけた。見るとまるめたTシャツで、矢崎は肩で息をしながら泣きそうな顔をしていた。
「明日も学校来るんだろうな!ちゃんと出席しろよ!」
「落ちつけよ。また明日な」
廊下に出てから、うう、という矢崎の唸り声を聞いた気がした。
翌日、朝のHRが終わったころに教室に入ると、矢崎がつかつかと歩いてきた。
「今日、古文の補習入れてもらったから」
「は?」
「お前のために、先生に無理言って。だから放課後絶対に残れよ」
まっすぐな目をした矢崎に、何がしたいのかとため息が漏れる。
「ため息つきたいのは俺だ。クラスメイトが進級できなかったら恥ずかしいだろ」
「…別にいいって」
「よくないだろ。俺だって……」
「何」
俯いた矢崎の次の言葉を待っていると、矢崎は目を少し泳がせた。
「修学旅行に…お前がいないのは、寂しいから……」
そう言った矢崎の唇をついガン見してしまう。
「矢崎も放課後残れば」
「どうして。俺、古文は割と、」
「またかわいがってやるから」
「は、いや、そ、いい、それは。……また今度な」
そう言って踵を返す矢崎の中身を、俺は一体どのくらい知っているんだろう。
「今度でいいの?」
声をかけるとその肩がぴくりと動いた。
「まあ、考えとけよ。放課後までに」
その背中に近づく。首に指を滑らせると、矢崎が息を飲むのが分かった。
「どこでヤりたいか」
「や、やめろ……」
「なあ、残れよ。絶対」
わかったよ、仕方ないな、とかなんとかぶつぶつ言いながら、真っ赤な顔をして矢崎は自分の席に戻った。
本当はどこが気に入ってるのか、お前にはまだ、教えてやらない。
-end-
2013.9.22