小説3

□あまい、あまい、あまい
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素直に開かれた口に、そっといちごを入れる。ピンクの舌が覗いた。
ゆっくり閉じられた唇に一瞬指が触れて、心拍数が上がる。

いちごを咀嚼する間、先輩は俺の目を見ていて、怪しい気持ちになりかけた。

喉仏が上下して、先輩がいちごを飲み込んだ。

「あまーい!すごい!な、のりちゃんも食べて、俺の」
「先輩、セリフが、エロくて」
「は?え、なに、ああ……もう!エロのりめ!」
「エロのり…」

変なあだ名がついて凹んでいると、綺麗な形のいちごが差し出された。

「広範、俺のいちご、食べて?」

先輩はふざけてわざとエロい声を出して言った。
どきどきして先輩の目を全然見られない。

口を開けると先輩の指がいちごを運んで、ポロっと中に入れてくれる。

その瞬間口を閉じて指を捕まえる。仕返しだ。

「あっ、ちょっと、のりちゃん」

焦る先輩がかわいくて、わざとゆっくり舌を動かして、綺麗な指の形を確かめる。
こうなると俺の心はしんと静まる。

「…のりちゃん……」

眉を下げて恥ずかしそうにしている先輩を堪能して、いちご味の指も堪能して、それからやっと解放した。

「もう……」

先輩は頬を少し赤くしてムスッとしている。

俺はそれからゆっくりいちごを噛んで飲み込んだ。

「甘いです」
「何が」
「いちご」
「ああ、いちごね、いちご」

先輩は、はいはいいちごねと言いながらまたいちごを探し始めた。

「先輩」

俺はしゃがんで先輩の耳に口を近づける。

「先輩の味はまたあとで確かめますね」
「なっ、この…エロのり!」
「エロのり……」
「帰り、のりちゃんち寄るね」

先輩がさりげなく俺の手に触れて、不本意なあだ名に対する不満は散っていく。

「先輩、エロいこと考えてます?」
「考えてないです」
「嘘ついても駄目ですよ。ここ、濡れてますよ」

しゃがんだ先輩のお尻をさらっと触ると、先輩がハッとした顔をした。
それを見て笑うと、先輩が顔を赤くした。

「やっぱり。エロいこと考えてたんですね」
「ひどい。のりちゃん。この二重人格」
「すみません」

かわいくてかわいくて、遠慮なく虐めたくなってしまう。触って、舐めて、涙目にさせたい。

「せっかく来たからいちご、たくさん食べましょう」
「……うんー」

先輩はもじもじしながらいちごを探し始めた。














「んんっ、は、んぅっ……のりちゃん……ん……」

玄関のドアを閉めてすぐ、家に入るまで我慢していたキスを仕掛けると、先輩はとろんとした顔で受けてくれた。
先輩の頭を撫でながら、持ち帰り用に箱に入れてもらったいちごを傍らに置く。

「先輩」
「んっ、や、やめっ」

後ろに両手を回して小さいお尻を揉み上げる。

「かわいいですよ、先輩」
「……えっち」
「ここでしていいですか」
「えっ」

先輩は後ろを振り返る。
先輩は外へ続くドアを背にして立っていて、鍵は開いていた。

「か、鍵、閉めたい」
「大丈夫ですって。誰も来ませんよ。手、ついて下さい」

先輩をドアへ向かせて前に手を回し、ゆっくりデニムのジッパーを下げる。

はあ、はあ、と息をしながら素直に俺に身を委ねてくれる先輩を、虐めたくて仕方がなくなった。

「先輩」
「な、に」
「ここから、自分で出して下さい」
「…自分で?」
「ここから、手入れて」

ジッパーを下ろしただけのそこに先輩の手を導き、後ろから肩越しに下を覗く。

「恥ずかしいよ…」
「どうしてですか。恥ずかしいくらい勃起してるんですか」
「…違う…」

先輩はゆっくり自分のものに手を添えて、それを露出させた。

「あぁ」

先輩が熱い息を吐いた。

「違わないじゃないですか。すげえ。こんなに」
「あっ、ん、や、見ないで」
「興奮してるんですか」
「して、ない…」
「先輩、嘘つきって言われたいんですね」

先輩の綺麗な手がイヤらしく勃起して濡れたものを握っている。その上から包み込むようにして、ゆっくり優しく扱いてやる。

「やっん、んっ、んっ」

かわいい声を上げる先輩に我慢ができなくなって、ドアに押し付けて後ろから唇を貪る。

「先輩」
「あっ、あぁん、のりちゃん…」
「ほら。手、動かして下さい」
「あっ、はぁ、はぁ、はぁっ」

その時、ドアの向こうで人の歩く音が近づいてきた。途端に先輩の体が強ばる。


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