小説3

□ほんろう 2
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「なんで?」
「う、るさいっ、もう、中村」

散々指で弄った後に黙って挿入を開始してやると、あ、あぁ、とため息まじりに喘ぐ。矢崎は壁についた手をぎゅっと握った。
腰を支えて軽く揺さぶると、中が締まった。

「やべえ…」
「んっ、あぁ、…っは、」

その時、校内放送が流れ始めた。

「1Aの矢崎くん、職員室まで」

担任の声だ。

「あ、や、やばい、行かないと」
「無理」
「だめっ、もう行く…」
「途中でやめられるわけねえだろ。イってから行けよ」
「だめ、中村…お願いっ、あ!あっあっ」
「…急いでやるから」

無理やり顔だけを振り向かせてキスさながら腰を打ち付ける。

「やっだめ、だめぇ!なか、むら、ああっんっんっんっんっんっんっ」

ベロベロと唇を舐めまわしながら腰を回す。

「あぁっ!あー……それ…もっと…」
「行かなくていいの?委員長」

あざ笑うように口の端を歪めて笑うと、矢崎は蕩けた顔で言う。

「だから、もう、イかせて」
「自分のは自分で扱け」

矢崎は素直に自分のペニスを握ってゆるゆると上下に扱いた。俺も腰のピストンを再開する。

「なあ。お前、俺のこと好きなの?」
「そんな、わけ、」
「何が好きなんだっけ?」

ハアハアと息をしながら、小さな声で矢崎は言う。

「……顔」
「それは、バックでヤるのは可哀想だよな」

一旦抜いて向かい合わせになり、足を持ち上げて駅弁で突き上げる。

「ああっ!や、やばいってば、だめ、中村、中村!」
「声でけえって」

矢崎は俺にしがみつきながら、ちらちらと俺の顔を見る。

「そんなに好き、この顔」

否定されると思って聞いたのに、矢崎はこくりと頷いた。

「どこがそんないいんだか」

思わず呟くと、矢崎は目を逸らす。

「かっこいい。普通に……」
「……何言ってんの」

ストレートな言葉に照れた。恥ずかしくなって矢崎を壁に押し付け、奥の奥まで突き入れる。

「いっ、やぁっ…あっ…」
「お前もったいねえな、女にもフツーに人気あんのにな。残念なやつ」
「あっあぁっ、中村、中村…!」

苦しそうな声で俺を呼ぶこの男はなんだ。訳がわからなくなりそうで、主導権を絶対に握っていたい俺は少し焦る。

「なあ。担任、待ってるだろうな」

わざと意地悪く言うと、また中が締まる。

「もう、早くしろよ……」
「まだそんなこと言えんの?」
「だって先生が」
「他の男のこと考えてんじゃねえよ」
「っ、ちがうっ、あっ、バカ…!や、だめ、もう、ああっ!」
「中出ししてやる」
「だめぇ!なかむら!お願い、中で出したら…!やめて、やめて!」

無視してドンドン音が鳴る勢いで腰をぶつけながら、セックスの時のこいつのかわいさは異常だとぼんやり思う。

「そろそろ俺と付き合う?」

フィニッシュに向かって息が上がる中で囁くと、矢崎は力いっぱい首を横に振った。

「好きなんだろ、顔」
「う、っ、顔だけっ…!」
「まあいいや。…やべ、イきそ」

耳を舐め上げると、矢崎はフルっと震えてイった。構わず突き上げ続け、程なく自分も射精する。

「ほら。外に出してやったからな」

ささっと前を拭いてやり、身支度の済んでいない矢崎に構わず個室のドアを開ける。

「待て!」
「お前急げよ。職員室」

矢崎はハッとして、次に俺を睨みつけ、さっと制服を直して男子トイレを出て行った。

あんなに余韻の残った顔をして。担任が惑わされなければいいけど。

自分もトイレを出る。
なぜノートの端に名前を書かされたのかが謎として残ったままで。



















その頃矢崎は職員室に走りながら思っていた。

『……ノートに字……書いてもらっちゃった……』






-end-
2013.11.20

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