小説3

□やっぱり2人
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「園田」

服を脱がせる時間も惜しくて、ベルトを緩めてうつ伏せにし、ズボンを無理やり太ももまで下ろした。園田は少し抵抗した。なんで。意味がわからない。でも俺は必死だったので、園田の制服の上着のポケットを探った。あった。ジェル。なんだか甘い匂いの。俺たちの使う潤滑剤は園田が持ち歩いていた。ちゃんと機能したことは一度もないけれど。
濡らしてひろげていく手順はいつもと同じ。なにせ俺たちは知識だけは山のように手に入れたのだ。園田はもう抵抗しなくて、時折小さな声を出したり体を震わせたりした。
もう、いいだろうか。
制服のまま、白い尻だけを出した格好の園田に覆い被さる。

「いい?」
「……うん」

この確認も、いつもと同じ。自分も制服を着たまま、重なる。位置を確認して。濡れた感触を、そこで感じる。入れ。入れ。本気で念じる。
でもやっぱり入らない。ぷるんぷるんと弾かれてしまう。

「ダメ、かも」
「痛いの?」
「痛くない。でも、入るって気がしない」

いつもはここで、かわいそうになって諦める。だって、こんな小さい穴に。慣れるまでは痛いに決まってる。無理することない、いつかできる日が来る、急がなくて大丈夫だ、と。
でも今日はそう思えない。だって、もう、あと少しで園田が。電車で4時間?近いわけないだろ。バカかよ。

「もう少し、ケツ上げて」

園田の腰を持ち上げる。園田が振り向いて、繋がろうとしている部分を見ようとした。
そこで、俺に事件が発生。

「痛えっ」
「ん、大丈夫?どしたの?」
「ファスナーに皮引っかかった」

開けたファスナーから性器を出しただけの格好で挿入しようとしていたことに無理があった。急いでズボンを下げる。そしてまた、重なる。

「よし」

何気無く言ったその一言。ふは、と、園田が笑った。

「っ、笑うな」
「はは、すげえいたそ」
「…るせ」

多分、笑ったことで、園田の体から力が抜けた。それから、ちょっとムカついて俺が身じろぎをした。その拍子になんと、先っぽが入ってしまった。

「あ!っ、あ……」
「……うわ」

入った。入った。入った。それでもう頭がいっぱいになってしまった。考えるよりも早く、本能が奥へと指令をだす。

「あ!…く……ま、って、う、は、はあ、」
「入っ、てる」
「く、るし、」

園田は苦しいと言ったようだった。けど、もう少し、もう少しで全部入る、そう、あっと言う間に。俺が園田に飲み込まれてしまった。
下に手を回して、園田を後ろから抱きしめた。死ぬほど幸せだと思った。

「園田……入ってる」
「う、…うー」
「…痛い……?」

恐る恐る聞くと、園田は首を横に振った。ちょっと苦しいだけ、と言った声は細い。
少しでも動いたら射精しそうだった。どうしよう、どうしよう、やばい、格好悪い。必死で耐えていたら、園田が上気した横顔で笑う。

「動いて、いいよ」

いや、動くとかそんな、そんな次元じゃなくて、ほんと、くしゃみひとつで出そうだ、と俺は思う。でも園田は、俺が園田のために我慢しているのだと思ったらしい。自分で腰を引いて、ゆっくりまた戻った。

「あ、出る」

呆気ない以外の何ものでもなく、俺は射精した。正真正銘の瞬殺だったので、俺も園田も何が起きたのかしばらくわからなかった。ただ、荒い呼吸と痙攣で、俺の状況を悟ったらしい。園田は蕩けたような顔をして、そんな気持ちよかったの、と言った。
憎らしいくらいかわいい。

「すげえ気持ちいいよ」

抱きしめる腕に力が入る。

「すげえわ、お前」
「そんな、いいの?」
「うん」
「俺?」
「うん」

園田は、やばい、なんか、勃っちゃったよ、と言って顔をベッドへうずめてしまった。

「園田。こっち向いて」

恥ずかしがる園田をひっくり返して仰向けにした。外はあんなに寒かったのに、汗をかいていた。急いで制服を脱ぐ。園田のも脱がせる。そして両足を広げると、園田は本当に勃起していて、俺はすでに復活していた自分の性器を園田に挿入し直していく。さっきよりずっと抵抗が少ない。

「あっ、ん」
「体に力入ってたから、入んなかったのか」
「そうなの…?」
「これ、お前は…どうなの」
「なんか、まだ、よくわかんない」

そう言って園田は両手を俺の首にかけた。抱き寄せられて上から何回もキスをする。繋がったまま。やっと、繋がった。そのまま。


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