小説3

□安達さん、リクエスト。
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僕は、安達さんに内緒で、朝帰りをしました。





「ふう。まさかあんな事になるなんて」

朝の清々しい空気の中、僕は寝不足の目をこすりながら自宅アパートへ戻ります。
今日は日曜日で大学はお休み。アルバイトは夕方からなので、帰ったら洗濯物を片付けて、少し眠るつもりでした。

自分の部屋の鍵を開けようとポケットを探っていると、なんと自宅のドアが内側から開きました。

「みっちゃん、君、遅いじゃないか」
「あ、こら!安達さんたら!また僕の部屋に無断で」
「早くお入り。寒かっただろうに」

僕がポカポカと安達さんの胸を叩くのにも構わず、安達さんはうつくしい顔で微笑みます。
そして僕を部屋へ迎え入れてくれます。

「ありがとう安達さん…じゃなくて、僕の部屋なんですが」
「いやなに。構うことはないよ」

微妙に会話が噛み合いませんが、僕はそういったことに最近少し慣れました。

部屋の中はいつも通りですが、何か違っているような気もします。

「みっちゃん、君、どこにいたの。心配したんだよ。何か、けしからん奴にけしからんことをされていたらと思ったりね…」
「ごめんなさい安達さん」
「けしからんことをするのは私一人で十分だろう?」
「全くです」

安達さんは満足そうに頷きました。

「で、どこで何をしていたの」
「友人の家で…」
「大学の?」
「いいえ、バイト先のです。ご飯を食べたりしていて」
「なるほど。たまには君にもそういった息抜きが必要だろう」

安達さんはふんふんと頷きながら僕をベッドへ連れて行くなり自ら服を脱ぎ始めました。

恥ずかしくてどこを見て良いかわかりません。

「みっちゃん。さあ見て。私を」
「なっ、なんて、変態のようなことを…」
「見たまえ。ほら」

恐る恐る見てみると、安達さんは素っ裸になって、両手を腰にあてて僕をまっすぐな目で見ます。

「さっき射精したのに、君が見ていると思えばもうこれだ」

安達さんは自分の勃起したペニスを自慢げに振り回します。

「むむ!安達さん、聞き捨てなりませんよ!射精したとは一体どこで!」
「みっちゃん。君の家にいて私が興奮しないと思うのか」
「すみません…」
「わかればよろしい」

やけに偉そうに言う安達さんが堂々としていて、僕は不覚にも、そんな安達さんにキュンとしてしまいます。

「みっちゃん。さあ、隅から隅まで舐めさせてごらん」
「あ、安達さん、いけませんっ、あ、だめ」

安達さんは僕のシャツに手をかけて、ボタンを一つずつ外して行くと思ったらいきなりぶちぶちっと破き開けました。

「安達さん!また!ボタン付けの仕事を増やして!」
「みっちゃん。君、これはどういうことだ」

安達さんの冷静な声にその視線を辿ると、それは僕の首のあたりを射抜くようです。

「みっちゃん。私というフィアンセがありながら、君はここを誰かに吸わせたのかい?」

僕はハッとしました。

「あの、これは、これには訳が」
「そうだろうとも。何か訳がないとこんなことにはならないだろうね。そうあって欲しいものだ。ほうほうなるほど、この感情を人は嫉妬と呼ぶのだろうね」
「これはっ、はぐっ」

安達さんが微かに怒っているようだったので、僕は慌てて理由を説明しようとして舌を噛みました。

「あらまあ、みっちゃん、少し落ち着きなさいね」

安達さんは優しい顔をしました。それに安心して、僕は少し泣いてしまいました。すると安達さんは、よしよしと背中を撫でてくれました。

「すまない。少し動揺しただけだ。私は何があっても君の味方なのだから。泣くことはないよ」
「いえ、ごめんなさい…僕がこんな…あの、これは、友達が」
「ふむ」
「皆で少しばかりお酒を飲んだんです。それで酔っ払って、トランプで負けた者が皆にお仕置きをされるというゲームがエスカレートして、それで、僕が負けた時の罰ゲームが、首筋にキスマークを付けることになってしまって…」
「ほう」

安達さんは、そっと、僕の首筋を撫でました。なんだかゾクゾクします。

「それで?君のここを、皆で吸った?」
「はい…」
「随分と破廉恥な集まりだね」

安達さんの声は優しく、囁くようです。

「みっちゃん。私が君を心配している間、君は友人の唇や舌で感じていたの?」
「そんなこと、ありません…」
「嘘をついてはいけないよ。だって、君はこんなに」

そして安達さんは、僕の首筋を吸いました。

「あんっ」
「…ほら、こんなに、感じやすいんだから」


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